『読書のチカラ』を読んで
『読書のチカラ』は、明治大学教授の齋藤孝さんが、読書をする意味や効率のよい読み方を伝授してくれる本です。
プロローグ(はじめに)を読み始めたら、すぐによいことが書いてありました。引用します。
およそ人類が到達してきた思考は、きわめて深いのである。それは、地層の奥深くを流れる清らかな地下水のようなものだ。それに比べれば、私たちが日常的に直面するトラブルは、川の水面の濁り水にすぎない。たしかに飲めば苦いが、深く潜れば清流がある。要は、それを知っているか否か、「潜る術」を身につけているか否かが大事なのである。
その「潜る力」、「沈潜する力」を授けてくれるのが、読書である。
齋藤孝著『読書のチカラ』より引用
この文章を読んで、私は読書ができて幸せだなあ、と思いました。
成功などということからは縁遠い私ですが、いま何とか生きていられるのは、読書をしているという原因も多分にあるのではないかな・・・と感じたのです。
齋藤さんの読書に対する想いがこもった本です。とがっている部分もありますが、だからこそ読んでみる価値があります。
齋藤さんにとっての悪書とは、最初から結論が分かっているような本とのこと。
「笑いたい」、「泣きたい」、「元気をもらいたい」というようなニーズが先にあって、それに間違いなく応えてくれるような本は、意味の含有率が限りなくゼロに近い、といいます。
こういう本から得られるのは、自分自身への慰撫だけであって、視野を広げたり知性を深めたりすることはできない、と厳しいご指摘です。
この本で齋藤さんが提唱されている「アウトプット読み」というのは、まさに、私がこのブログを通じて毎日行っている読み方でした。
この読み方のポイントは、第一に自分がその本のどこに興味をもったのか、自分の感性や経験を主体に語ること、第二に、本の一部を引用しながら説明すること、です。
私は、知性を深められたり、気づきを得られたりする場所は、一冊の本にせいぜい二か所あれば上々だと思っています。
その本の中で自分にとってのセンターピンを探す「アウトプット読み」は、効率よく読解できる読み方だと思います。
齋藤さんは学生さんには「読書しない人間は人にあらず」と言い続けているのだそうです。
たくさんの本を書かれていて、それぞれの分野でいろいろな技術や知性をおもちの齋藤さんの読書術、ぜひご参考になさってください。
参考文献:『読書のチカラ』 齋藤孝 (大和書房)
参考ブログ:
『リーディング3.0』を読んで
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e727697.html
『読書家とは?』
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e767017.html
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