佐藤一斎の『言志四録』

Hitoshi Yonezu

2011年07月03日 10:00

 『最強の人生指南書』という題名を見て、「最強の人生指南書」とは一体どの本のことを指すのだろう?と考えてしまいました。

 明治大学教授の齋藤孝さんにとってのそれは、佐藤一斎の『言志四録』だそうです。

 佐藤一斎とは、幕府直轄の教育機関であった昌平坂学問所のトップで、日本における儒学の大成者として大変尊敬されていた人です。その門下には数千人が学んだそうで、その中には、佐久間象山や横井小楠らがいます。

 西郷隆盛は、1133条からなる『言志四録』から101条を抜き出し、何回も書いてその身に覚えさせていたそうです。

 この本は、斎藤さんが『言志四録』から選んだ原文を抜き出し、それに解説を付けておられます。私のような古文や漢文が苦手な者にも大変読みやすく、分かりやすかったです。

 『最強の人生指南書』より引用します。

 春風を以て人に接し、秋霜を以て自らを粛む。(後・33)

 (解説)春風のなごやかさをもって人に接し、秋霜のするどさをもって自らを規正する。

 

 人の賢否は、初めて見る時に於て之を相するに、多く謬らず。(録・39)
 
 (解説)人が賢か否かは、初めて見たときに直覚した印象が、多くの場合間違いなしだ。



 漢文を読めると、なかなかかっこいいですよね。覚えてみたいなあ、と思う言葉がいくつもありました。

 長い歴史に耐えてきた言葉には力があります。

 みなさまもぜひご参考になさってください。

 

 参考文献:『最強の人生指南書』 斎藤孝 (祥伝社新書)
 

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