店にしがみつくと

Hitoshi Yonezu

2011年05月27日 10:00

 
 夫婦でがんばって3店舗まで増やしているとします。3店舗全体はご主人が見ていますが、本店の店長はずっと夫人が務めています。夫人が35~40歳ぐらいの頃はそれでもうまく回せているのですが、60代ともなると問題が出てきます。
 夫人の好みで商品を揃えるようになるからです。夫人の好みは、小金持ちの奥さまがほしいと思うようなもの。したがって、若い人はさっぱり寄りつかなくなってしまいます。
 この問題改善には、夫人に経理か何かをやってもらい、店からはずれてもらうこと。そして、店長には30~35歳ぐらいの経験者に就いてもらうことです。
 けれども、事はそう簡単ではありません。ご主人は浮気性で夫人に頭が上がらないということがあるからです。夫人のほうに権限があれば、絶対にはずすことなどできません。
 (中略)
 夫人にとって、店が趣味となってしまっているからです。店からはずれたら、何をしたらいいかわからなくなる。だからず、ずっと店にしがみついていくつもりになっています。
 こういう店は、改善不可能です。その先は「趨勢的未来」しかないでしょう。
 
                   小山政彦著『9割の会社は社長で決まる』より引用



 ご主人が浮気性かどうかは別として、夫人のほうが力があって、夫人の思うように進んでしまうというのはよく聞く話です。

 夫人だから悪いというのではなくて、経営する力のない人がいつまでも頑固に自分の仕事を守ろうとすると、その人物の能力のみに頼る「生業」となり、未来は趨勢的に実現していくことになるということです。

 趨勢とは、なりゆきのことです。「趨勢的未来」とは、このままなるようにしかならないということです。

 小山会長は、この対義語として、「希望的未来」をあげておられます。

 希望的未来を実現するには、思い切った改革をすることです。引用した文章が書かれていたのは、「4 社長は、9割が反対する改革を実行しなさい」という節でした。
 
 日本の中小企業はほとんどは一族が株主で、しかも経営者という形ですから、会社の人事と家族関係が密接に結びついてしまっています。

 人事を断行しようとすると、家族を切るのか?という話になってしまい、結局、能力があってもなくても、一族みんなが重要なポストに就くことになります。

 これでは会社はよくなりません。

 会社と家族は別でしょう。

 こういうときは、たいてい、一族の年配のかたの問題ですから、その英断するのを期待するしかありません。

 
 
 参考ブログ:
 「『9割の会社は社長で決まる』を読んで」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e719584.html
 「新しいことは新しい人に任せる」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e734039.html

 参考文献:『9割の会社は社長で決まる』 小山政彦 (中経出版)
 

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