よいことを思い出す

Hitoshi Yonezu

2011年05月26日 10:00

 よい感情を伴う過去や記憶には、おおいにとらわれてよいのだ。それは時がたっても完全に消え失せることはなく、心のどこかに蓄積して、いまの自分を支えてくれるはず。もちろん、それをまわりの人にまで吹聴し、「ほめてくれよ」と強要するのはやりすぎだが、自分の中で「オレよ、よくやった」と思うくらいならどんどんやるべきだろう。

                   香山リカ著『私はのんびり生きてきた。』より引用



 精神科医の香山リカさんの『私はのんびり生きてきた』によれば、よい感情はすぐに消えてしまうのに、いやな感情はいつまでも残ってしまうそうです。
 
 特に残ってしまうのは、怒りの感情です。

 香山さんの患者さんで、同僚のミスによって上司に叱られたことについて、顔を真っ赤にして涙ぐんで怒っている人に、いつのことですか、と聞いたら、8年前のことだと言われたとのこと。

 確かに私もときどきふっと思い出してしまうのは、叱られたり、失敗したり、悲しかったり、苦しかったりした感情ばかりです。

 思い出そうとしているのではないのに、なにかの拍子に、自然に感情が湧きあがってきてしまいます。

 逆に、よい感情を伴う思い出は、思い出そうとしないとなかなか上がってきません。(私だけですかね・・・)
 
 若いころは、元気が出ない時には、頭の中のよい思い出を探って、あのときあれだけできたんだから今もできるはずだ・・・と気持ちを高揚させていましたが、最近は昔のことを思い出すことさえ忘れていました。

 香山さんは、すがれる過去がない人は、「いや、オレってよく生まれてきたものだよな」と思うだけでもよいと書かれています。

 過ぎ去った過去の栄光でもよいそうです。

 嫌な思い出が上がってきたら、早々に打ち消して、よい思い出を探してみましょう。その方が楽しいですね。
 
 

 参考文献:
 『私はのんびり生きてきた。』 香山リカ (扶桑社)
 

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