TPPについて

Hitoshi Yonezu

2011年05月10日 10:00

 民主党政権がいきなりTPPへの参加を打ち出したときには、なんで民主党が?と、少々驚きましたが・・・

 TPP(Trans-Pacific Partnership)とは、環太平洋戦略的経済連携協定の略称で、2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国加盟で発効した経済連携協定です。
 加盟国間のサービス、人の移動、基準認証などにおいて整合性を図り、貿易関税については例外のない撤廃を目指しています。
 2010年からは、アメリカが主導となって急速に進められています。

 実は、TPPに参加している国、および参加を予定している国をGDPのベースで比べると、何と、その9割をアメリカと日本の二カ国が占めているのだそうです。
 
 韓国とのFTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)が議会で紛糾したアメリカは、日本との二国間FTAを進めずらくなったため、その代わりにTPPを推し進めているのです。

 つまり、日本にとってのTPPとは、アメリカとの二国間FTAと同じ意味をもつわけです。

 『日本経済こうすれば復興する!』で、竹中平蔵さんは、日本の自動車には10%の関税がかかるが、タイとオーストラリアはFTAを結んでいるので、日本の自動車メーカーはタイで生産するようになり、過去10年間で日本の製造業の雇用は300万人も減ったとし、日米間のFTAは進めるべきだ、という立場で、TPPも推進すべきだ、と述べています。

 『日本の大復活はここから始まる!』で、三橋貴明さんは、TPPに参加すれば、金融サービスや医療サービス、法律サービスなどもアメリカの方式が日本に持ち込まれるとし、また例えば自動車の輸出が日本のGDPに占めている割合は1.23%しかないので、自由化しても意味がないとし、TPPに絶対反対の立場をとっています。

 竹中さんは自民党小泉内閣の元大臣、三橋さんは2010年の参議院選全国区で自民党の候補として公認された方(落選)です。

 TPP賛成か、反対か、主張は全く逆です。データをどういう立場で読んでいくか、ということで説明は全く異なるわけです。どういうデータに当たっているかということも大切ですね。

 我々は識者の本をよく読んで学び、どちらの立場をとるべきか考えていかねばなりません。

 皆さまも2冊の本を比べて読んでみてください。

 

 参考文献:
 『日本経済こうすれば復興する!』 竹中平蔵 (アスコム)
 
 
 『日本の大復活はここから始まる!』 三橋貴明 (小学館)
 

 ウィキペディア:「環太平洋戦略的経済連携協定」
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%92%B0%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E6%88%A6%E7%95%A5%E7%9A%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E9%80%A3%E6%90%BA%E5%8D%94%E5%AE%9A

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