『成長するものだけが生き残る』を読んで

Hitoshi Yonezu

2011年05月04日 10:00

 上原春男さんは、元佐賀大学学長で、海洋温度差発電がご専門のエネルギー工学者です。

 福島第一原子力発電所3号機(一説には5号機)の設計者として、最近原子炉の冷却問題でたびたびマスコミにも登場されています。話し方に特徴があるので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
 YouTubeを検索すれば、上原さんの動画がアップロードされています。
 http://www.youtube.com/watch?v=B1aAYwCnRt8

 上原さんは、工学者ですが、企業における独特の成長理論をおもちで、「成長塾」という企業家向けの勉強会も開いておられるそうです。

 どんな方なのか気になりましたので、ご著書『成長するものだけが生き残る』を読んでみました。

 「成長の原理」は、次の五つの原理から成り立っています。

 ①第一の原理 「創造・忍耐の原理」
 ②第二の原理 「成長限界の原理」
 ③第三の原理 「並列進行の原理」
 ④第四の原理 「条件適応の原理」
 ⑤第五の原理 「分離・再結合の原理」

 当初は漠然とした概念でしたが、これらを実行しているうちに次第に体系化され、物事をなすときの心構えや方法論の基軸となり、たくさんのアイデアを生む想像力の種となってきたそうです。

 上原さんは、成長するものだけが生き残ることができ、現状維持にとどまるものは、即、衰退に向かうのだといいます。

 そして、成長に不可欠なキーワードは「心地よさ」で、「心地よさ」が「成長の原理」の中心をなすロジックなのです。

 この本は、「心地よさ」についての具体例を挙げながら、「成長の原理」の概念を説明してくれています。

 エネルギー工学の専門家で、大学の学長までなさった方が企業経営にも精通しているというのは異色ですが、納得できることが多かったです。上原さんが実際に指導されている会社は、業績がとてもよくなるのだそうです。

 上原さんのご本は値段が高いものも多いですが、この本は手頃な価格です。いつもとは違った角度で経営の勉強をなさってみてはいかかでしょうか。ご参考になさってください。
 
 

 参考文献:『成長するものだけが生き残る』 上原春男 (サンマーク出版)
 

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