すべてを半分にしよう
キャノン電子の酒巻久さんは社長に就任したときに、次のような目的、目標を掲げたそうです。
[会社としての目的] = 世界のトップレベルの高収益企業になろう
[それを実現するための具体的な目標] = TSS 1/2 (すべてを半分にしよう)
酒巻社長は、かつてのように大きく売り上げを伸ばせる時代ではないので、無駄を省いて、高い収益を上げられる経営体質に変えていくことが必要だと考えました。
そしてそれを実現するための具体的な目標として「TSS 1/2」を打ち出しました。「TSS 1/2」とは、「時間、生産スペース、水、ガス、電気の使用量、不良品、人・物の移動距離、CO2排出量などをすべてこれまでの半分に減らそう」というものです。
この目標は導入四年目にして達成してしまったそうです。
すごい実行力です。その元となったのは、ドラッカーの次の言葉だそうです。
「組織に働く者は、共通の目標のために貢献する。彼らの働きは同じ方向に向けられ、その貢献は、隙間なく、摩擦なく、重複なく、一つの全体を生み出すよう統合される。事業が成果をあげるには、一つひとつの仕事を、事業全体の目標に向けなければならない」(『チェンジ・リーダーの条件』ダイヤモンド社)
酒巻さんはこの教えを忠実に実行し、組織を目的に向かわせるために、いろいろな策を考えて実行されました。
詳しくは、酒巻さんの『ドラッカーの教えどおり、経営してきました』をご参考になさってください。
ドラッカーを読んで、それを実際に自社の経営に活かして、ここまで実行できるのはすごいことだと思います。
ドラッカリアンという言葉もあるくらい、ドラッカーの信奉者は多いですが、ただ読んで、いい言葉だな、と感心しているだけでは意味がないですね・・・(私のことです。)
酒巻さんの徹底した実行力に教えられることは大変多いです。
参考文献:
『ドラッカーの教えどおり、経営してきました』 酒巻久 (朝日新聞出版)
『チェンジ・リーダーの条件』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
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