『人を動かす力』を読んで
被災されている皆様方に謹んでお見舞いを申し上げます。
『人を動かす力 歴史人物に学ぶリーダーの条件』は、英語学者であり、歴史や政治、経済などについての評論でも有名な渡部昇一さんが、歴史上の人物を取り上げ、そのリーダーシップについて述べた本です。
松下幸之助、渋沢栄一、乃木希典、伊藤博文、大久保利通、豊臣秀吉、モルトケなどさまざまな人物が紹介されています。
この本に、いわゆる「二代目」ついて、次のような記述がありました。
二代目は一般的に偉い初代の真似をしようとする。ところが中には、父親と変わったことをして、偉いのは父親ばかりでないことを示そうとする人がいる。こういうのは英語でいえば、プルーブ・ワンセルフ(prove oneself)、自分自身を証明することである。自分を証明せずにはいられない二代目というのがいるものだ。「俺はバカではない」「俺自身にも力があったから二代目になれたのだ」ということを示したがるのである。
渡部昇一著『人を動かす力』より引用
武田勝頼は凡庸でも愚かでもありませんでしたが、父の信玄があまりにも偉大だったため、反発して自分の証明を試みてしまったそうです。
逆に、徳川秀忠はおとなしく二代目を受け継いだので、その後、徳川時代が長く続く基礎となりました。秀忠はただの従順な人に思われがちですが、自分自身を証明せずにいられたということは、心理学的に安定度が高いからなのだそうです。
中小企業の経営者をみても、二代目、あるいは、会社を大きくした父を受け継ぐご子息の中は、どこか突っ張って、孤高の人になってしまったり、張り裂けんばかりになってしまったりするような人がいます。
お恥ずかしい零細企業の話ですが、私の父は絵を描くような芸術家タイプの人間ですから、受け継ぐものとしてはそんなに気にはなりませんでした。
自分の力を示そうと、おかしな考え方になってしまう人もいますから、気をつけなくてはなりません。
歴史の例示が多く、簡単に読める本ですから、ぜひご参考になさってください。
一刻も早く日本が平和になることを願っております。
参考文献:『人を動かす力』 渡部昇一 (PHPビジネス新書)
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