『挫折力』を読んで

Hitoshi Yonezu

2011年02月26日 10:00

 『挫折力』は、経営共創基盤のCEOで、産業再生機構のCOOとしても活躍された冨山和彦さんが、挫折をすることの大切さを説いた本です。

 冨山さんといえば、さまざまな企業の再生にかかわった有名な方ですので、御存じの方も多いのではないでしょうか。私は講演のCDを拝聴したことがあり、現場主義に徹底した企業再生の方法に特徴があったのを覚えています。

 東大法学部の卒業で、スタンフォード大学のMBAでもあり、司法試験にも合格しているという、人並み外れた経歴と優れた能力の持ち主である冨山さんが、何を挫折と言うのだろう・・・と不思議な気持ちで読み始めました。

 冨山さんの挫折というのは、「いわゆる東大法学部の卒業生」とは違うコースを歩んだ、という意味も含まれているようで、世の中の一般的な挫折というものとはやや違います。どんな障害がきても、それを乗り越えていくというような意味合いではないでしょうか。

 この本の中には、インテリのエリートや政治家などに対する強烈な批判もあります。現場に精通し、大きな問題をいくつも解決してきた冨山さんの器量の大きさを感じます。
 
 リーダーが善なる結果を生み出す人格的な要件は、内村鑑三とマキャベリという二つの人格を共存させることができるかどうか・・・つまり、日常の温厚と修羅の鬼神、平時のバランス感覚と危機時の果断という全く違う行動がとれるかどうか・・・ということだそうです。
 この狭間には、狂気とも呼べるような胆力が横たわっているといいます。

 この本は20代30代の、これからリーダーになる人向けに書かれているような節もありますが、若い人には偉い人からの教訓のように読めてしまって、共感できないのではないかと思います。
 むしろ40代以上の、挫折や危機を経験した人が読んだ方が、理解ができますし、反論もできると思います。

 リーダーの立場にある方、またリーダーを目指す方はぜひご一読ください。

 

 参考文献:『挫折力』 冨山和彦 (PHPビジネス新書)
 


 第三回上田ビジネス読書会のお知らせです。
 
 平成23年3月16日水曜日 午前6時半より、上田市のささやにて開催します。課題図書は冨山和彦著『挫折力』です。この本は、立場によって反論異論も出る本だと思いますが、あえて取り上げました。
 年齢男女問いません。難しい話はしません。課題図書について、共感できるところ、納得できないところなどをお互いに話し合い、理解を深め、人生に役立てていく会です。詳しくは右のお知らせ欄をご覧ください。
 現在の参加者は5人(うち一人は女性)です。ご参加お待ちしております。

 参考ブログ:第二回上田ビジネス読書会開催しました。
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e668222.html

 

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