秋保温泉「主婦の店・さいち」の秘密

Hitoshi Yonezu

2010年12月24日 10:00

 仙台市の中心部から車で30分ほどの秋保温泉。人口4700人程度の過疎地です。

 この町にある「主婦の店・さいち」は、佐藤啓二社長を中心に、家族と50人ほどの従業員で経営する80坪弱の小さなスーパーです。

 コンビニをちょっと大きくした程度のスーパー、さいちに、イトーヨーカ堂創業者の伊藤さんや、餃子の王将の大東さんをはじめ、全国からスーパー業界や、その他たくさんの方が視察、研修に引きも切らず訪れています。周辺を回っている観光バスも、うわさを聞いて、わざわざこのお店に立ち寄り、おはぎをお土産にするのだそうです。

 さいちの特徴は、おはぎとお惣菜の総菜部門の売り上げが、年商6億円のうち、約5割を占めていることです。普通のスーパーでは総菜部門の比率は10%が目標だそうです。

 来店客は、地元客が4で、地元以外や観光客などが6の割合です。外からたくさんのお客さまを呼び込んでいます。

 おはぎは、「秋保おはぎ」の名称で、化学調味料や保存料を使わずに、砂糖は少なめにして、手作りです。1日平均五千個、土日祝日には1万個以上、お彼岸には2万個が売れていくそうです。
 
 社長の奥様である専務がおはぎや総菜の調理を担当し、毎朝1時半(夜ですね)から調理を始めておられるのだそうです。

 人口減少がますます進んでいる過疎地において、こんなに繁盛しているスーパーがあるのはすごいことです。私も、地方だから業績が上がらないと言い訳をするわけにはいきません。

 このお店の経営について、社長の佐藤さんが書かれた『売れ続ける理由』で明かされています。

 とにかくこのお店がすごいのは、社長と専務のご夫婦が仕事に一生懸命なことです。「経営者が一番苦労し、働いているか」ということを大切にされておられます。

 看板商品であるおはぎにも、総菜にも、レシピはなく、専務が手とり足とり教えていくそうです。

 経営者家族のがんばりや、小さいからこそできる強みを大きく活かす経営です。

 マネジメント的な視点では、毎日の気温や天気、来店客数、売上などを記録してすぐに一覧できるように表にされています。この表は売り上げの予測を立てるのに役立つそうです。

 家業故のすばらしさと、逆に特定の人に頼りすぎているという経営の不安も感じましたが、さまざまなアイデアや経営に対する姿勢は、たいへん勉強になります。中小企業の経営者の方はぜひご一読ください。

 

 先日このブログでご紹介した和菓子店「小ざさ」とも通ずるところがあります。

 参考ブログ:吉祥寺「小ざさ」の秘密
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e629824.html

 参考文献:『売れ続ける理由』 佐藤啓二 (ダイヤモンド社)
 

 ビジネス読書会開きます!
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e623163.html
 

関連記事