吉祥寺「小ざさ」の秘密

Hitoshi Yonezu

2010年12月22日 10:00

 商品は、1本580円の羊羹と、1個54円のもなかだけ。

 その二種類の商品をたった1坪のお店で売って、年商3億円になるそうです。

 もう40年以上商品を求める人の行列が途切れないという、吉祥寺の和菓子店、「小ざさ」です。

 78歳になる小ざさの社長、稲垣篤子さんが、その生い立ちや経営の秘密を語った本が、『1坪の奇跡』です。

 稲垣さんは、戦前、戦中、戦後と苦しい経済社会環境の下、厳しい父の指導のもとで、和菓子づくりに励んできました。

 一時はカメラマンとして活躍されたこともあったようですが、持ち前の負けず嫌いの性格で、父よりも美味しい羊羹をつくりたいという気持ちがわいてきて、また小ざさに戻ったのだそうです。

 小ざさの羊羹は、ポクポクの芋羊羹、ねちねちの普通の羊羹、プリプリの錦玉かん、口の中でスーッと溶ける水羊羹の4種類の羊羹のちょうど交点にある羊羹、とのことです。

 小ざさの羊羹は、1日限定150本しかつくらないそうですので、これを手に入れるためには、朝8時半から整理券を求めて、お店に並ばなくてはならないそうです。(もなかは店頭やWebでも購入できるようです。)

 どんな羊羹か想像できませんが、一度食べてみたいですね。

 この本を読むと、戦前生まれの方々が、生きていくためにどんなに苦労してきたか、よくわかります。
 私は亡くなった祖父母に、似たような話をよく聞かされてきました。戦争前後の話を語れる人が減っていきますから、こういう話はぜひ知っておきたいと思います。

 小ざさは、味にも、サービスにも、経営にも優れた素晴らしい繁盛店だと思いますが、稲垣さんは家業であるが故の経営上の問題をいくつか感じておられるようです。

 消費者としては、よいものを提供するお店は、大切にしたいですね。
 
 

 参考文献:『1坪の奇跡』 稲垣篤子 (ダイヤモンド社)
 

 
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