イスラム世界の大疑問

Hitoshi Yonezu

2010年11月04日 10:00

 イスラム世界や中東の政治問題を、毎日のように報道で耳にしますが、なぜ今のような状況になってしまったのか、どのくらいの方が説明できるのでしょうか。
 
 私もアラブとイスラエルが常に緊張状態であるということはわかっていましたが、大きな枠組みでしか理解しておりませんでした。

 『大人も子どももわかるイスラム世界の「大疑問」』は、わかりやすい解説で有名な、元NHKのキャスターでジャーナリストの池上彰さんが、イスラム世界とその歴史、またそれにまつわる宗教について教えてくれる本です。
 イスラム教だけでなく、ユダヤ教、神道、仏教についても比較して概観してくれています。 

 この本は「子どももわかる・・・」という題名から、子供向けのようなイメージがついてしまって、損をしていると思うのですが、むしろ大人が読む本だと思います。

 さすが池上さんです、この本を読んだら、イスラム教の考え方、シーア派やスンニ派の違い、なぜイスラエルができたのか、どうして戦争になってしまったのか、世界の宗教と日本の宗教とどう違うのか、などなど今までおぼろげだったことが、すっきり理解できました。 
 ちなみに、池上さんは松本生まれなんですよ。

 この本を読んで思ったことは、戦争になってしまうと、どちらがいけないということはなくなっていく、ということです。
 きっかけを作った事件や策略などはありますが、その後は双方がいろいろなことを仕掛けていきますので、正義と悪の区分けはできなくなっていきます。
 私はこの本を読んで、イスラム各国やイスラエル、アメリカ、フランス、イギリスなどそれぞれの国に対するイメージが少し変わりました。

 2002年に第1刷が発行されていて、私が購入した本は2009年発行の第16刷です。
 もう8年も前に書かれた本です。最新の動きはフォローしていませんが、いま読んでも充分に価値があります。

 私のように中東問題についてよくわからないと思っている方は、是非ご一読ください。これを読むことは国際理解、国際貢献になると思います。

 

 参考文献:『大人も子どももわかるイスラム世界の「大疑問」』 池上彰 (講談社+アルファ新書)
 

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