いつまで借金できるのか?
昨日のブログの続きです。
GDPの定義により、国債を発行して、公共投資など政府支出を増やし続けることができれば、確実にGDPは増えていきます。しかし、政府はいつまでも際限なく、国債を発行し続けることはできるのでしょうか。
三橋さんのご著書から引用します。
なにしろ、中央政府はその国の通貨を発行する権限を持つのである。日本政府の場合は、国債を日銀に買い取らせる形で(直接買い取りの場合は、国会決議が必要だが)通貨を発行したり、あるいは政府紙幣を発行してもかまわない。「お金」を発行する権限を持つ経済主体(=中央政府)が、国内から自国通貨建てで「お金」を借り入れたために、破綻(デフォルト)することはまずない。
『いつまでも経済がわからない日本人』より引用
たしかにその通りですが、こうなった場合、通貨の価値が薄まっていくという懸念があります。インフレになるということです。円の価値は下落して、円安になるでしょう。
インフレになることは三橋さんも指摘されています。
それでも三橋さんは、負債残高は問題ではないといいます。
なぜなら、国債の金利が上昇していないからです。このところの日本の新発10年国債の利回りは1%代前半です。
三橋さんに言わせれば、金利が上昇していないのなら「市場が国債発行を求めている」と判断し、金利が上昇するまで、国債発行と財政出動を継続するべきである、というのです。
ここが、他の方と意見が分かれるところです。
一方では、もはやいつ国債が暴落して金利が上がってもおかしくないと見ている方もいます。国債の応札は無事に終わるのか・・・?と心配しながら様子をうかがっているのです。
三橋さんはかなり強気に見ておられます。資金需要が出てきて、金利が上がるまで、お金を使い続けるべきとおっしゃるのです。
みなさまはどうお考えになりますか?
自分が一国の王様だとします。自分の好きなように、お城をつくったり、橋をつくったり、道路をつくったりします。お金がなくなったら、自国の印刷局に連絡して、紙幣を刷ってもらいます。これを続けている限り、自国民は仕事をもらえて潤いますし、国の経済は発展していきます。
しかし、紙幣を刷り続けていくと、やがて紙幣の価値が薄まり、通貨の価値が落ちてきます。
江戸時代の元禄の改鋳、元文の改鋳などは有名ですね。これは場合によっては、デフレを改善するよい経済政策となることもあります。
貨幣の価値が落ちるということは、例えば100円玉の価値が落ちるということですから、昨日まではパン一個100円でよかったものが、明日からは100円玉だったら二枚ほしいといわれるようになります。
通貨の価値が落ちると、円安になるので、海外から買うものの値段も上がり、インフレは加速していきます。
さてさて、日本はいま、インフレ前夜なのでしょうか、それとも、まだまだお金を使い続ける余裕があるのでしょうか?
この認識の違いが、三橋さんと辛坊さんの違いだと思います。
公共投資を進めるかべきなのか、財政健全化を図るべきなのか、みなさま御判断くださいまし。
参考ブログ:
『日本の財政赤字』
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e401787.html
参考文献:
『いつまでも経済がわからない日本人』 三橋貴明 (徳間書店)
『日本経済の真実 ある日、この国は破産します』 辛坊治郎 辛坊正記 (幻冬舎)
関連記事