若いときに元気を惜しむ

Hitoshi Yonezu

2010年04月20日 10:00

 わかき時より、老いにいたるまで、元気を惜しむべし。年わかく康健(こうけん)なる時よりはやく養ふべし。つよきを頼みて、元気を用過すべからず。わかき時元気をおしまずして、老て衰へ、身よはくなりて、初めて保養するは、たとへば財多く富める時、おごりて財をついやし、貧窮になりて財ともしき故、初めて倹約を行ふが如し。行はざるにまされども、おそくして其しるしすくなし。

               貝原益軒『養生訓 巻第二 総論下』より引用


 若いときに、健康だからといって、元気に活動しすぎるのはよくない。若いときから元気を養うべきだ。若いときにがんばりすぎてしまうのは、お金があるときに贅沢をつくし、貧乏になってからやっと倹約を始めるようなものだ。

 「若いときに無理しすぎて・・・」「20代のころお酒を飲み過ぎて・・・」とおっしゃる方がよくおられます。若いときは、あまり疲れることもなく、回復も早いから、ついつい無理をしてしまいます。

 貝原益軒は、うまいことを言ったものです。元気をお金のようなものだというなら、お金のあるときに浪費をしてしまうように、若いときに元気を使いつくしてしまうのは、良くないことだなあと理解することができます。
 
 江戸時代の本草学者が言っていることですから、現代医学からみて科学的根拠があるかといえば、ないといえましょう。

 しかし、健康については、人によって千差万別ですから、科学的な答えがあるわけではありません。それぞれの方が自分にあう健康法を実践されています。

 養生訓は江戸時代から歴史の流れに耐えて読み継がれていますから、日本人の健康にあう何かが書かれているのだろうと思います。

 古文ですが、素養のない私でもだいたいの意味は分かりました。皆さまもご参考になさってください。
 
 参考文献:『養生訓・和俗童子訓』 貝原益軒 (岩波文庫)
 

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