なぜ月にウサギがいるの?

Hitoshi Yonezu

2010年04月03日 10:00

 なぜ月にウサギがいるのか、ご存知でしょうか?

 昔、森に、ウサギと猿と犬とカワウソがいました。ウサギはいつもみんなに、「貧しくて食を請う人や困っている人に布施をしなくてはいけないよ」と話していました。

 天界の帝釈天がこの様子を見て、ウサギの気持ちを試してみようと思いました。下界に下りてきて、「何か食べ物を恵んでください」と皆に頼んだのです。

 猿と犬とカワウソは食べ物が蓄えてあったので、ウサギに言われた通り、布施をしました。ところが、ウサギには蓄えがなかったので、布施ができません。

 困ったウサギは、一計を案じました。薪に火をつけ、その中に飛び込み、自分の身を焼き、それを食べるようにと言ったのです。

 帝釈天は、ウサギの布施の心を称えて、月の世界へ送ったのだそうです。


 『般若心経の教える幸せになるための智慧』から引用した逸話ですが、ウサギのことを考えると、ちょっと怖い話ですね。

 しかし、我々の生活を考えるとどうでしょうか。我々は、地球に育ついろいろなものを食べて生活をしています。そうしなくては生きていけません。

 牛、豚、鶏、魚、野菜、果物、穀類・・・それらのすべてのものは、人間が育て、殺生し、我々の生きる糧となるのです。

 仏教には「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅうじょうしつうぶっしょう)」という言葉があります。この世に存在するすべてのものに仏の心があるという意味です。

 すべての食べ物は、仏の心をもつものが自らを犠牲にして差し出してくれる布施・・・それを人間が食べている・・・と考えてもよいでしょう。

 食事をするときには、ウサギさんのことを思い出さなくてはいけません。
 
 参考文献:
 『般若心経の教える幸せになるための智慧』 ひろさちや 阿純孝 (ソフトバンク新書)
 
 今日のブログに引用したような分かりやすい説明がなされていて、よい本です。ぜひご一読ください。

 参考ブログ:
 『会社の奴隷』 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e433522.html
 『お供えすること』 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e434963.html
 『どうしたら損をすることができるか』http://highlyeffective.naganoblog.jp/e435614.html

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