『7割は課長にさえなれません』を読んで

Hitoshi Yonezu

2010年02月27日 10:00

 終身雇用制度の崩壊が問題だとか、人材派遣会社が問題だとか、・・・

 日本の雇用問題について、いろいろなことが言われていますが、本質的には何が問題なのでしょうか?

 『7割は課長にさえなれません』では、雇用問題の驚くべき実態が明らかにされています。

 例えば、自由競争がおこなわれていれば、有期雇用というリスクの高い雇用形態の方が、終身雇用である正規雇用、正社員より賃金が高くなるはずです。
 
 逆の話になりますが、金利だって、リスクの低い短期もしくは変動金利なら安く、リスクの高い長期固定金利なら高いのは当たり前のことです。
 
 ところが、現在の日本では、非正規雇用の方々の賃金総額は正規雇用よりずっと低いのです。

 習熟の必要がなく、いつでも置き換え可能な作業しか与えられていないためです。正規雇用と非正規雇用の格差が固定されてしまっています。

 正社員と派遣社員の格差がなぜ起こっていて、どうすれば解決できるのか。今後の日本の雇用はどうしたらよいのか。

 テレビや新聞に出てこないことが分かる大変興味深い本です。中小企業を経営なさっている方ならこの本の内容はよく納得できると思います。ぜひご参考になさってください。  
 
 参考文献:『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』 城繁幸 (PHP新書)
 

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