カリスマ駅弁販売員の本

Hitoshi Yonezu

2010年01月02日 10:00

 駅弁を買うときに、接客が素晴らしくて感動した、という記憶はいまだないのですが・・・

 『1年で駅弁売上を5000万円アップさせたパート主婦が明かす奇跡のサービス』によれば、NRE(旧・日本食堂)には、すごい駅弁販売員がいるようです。

 著者の三浦由紀江さんは、23年間の専業主婦経験のあと、44歳で上野駅でパートの駅弁販売員としてデビューされました。パートとして次々と実績をあげ、店長、統括店長を経て、いまでは正社員として、大宮の営業所長をなさっているのだそうです。

 職務経験ゼロの状態から44歳でいきなり仕事を始めたわけですから、最初の頃は仕事の不平不満をこぼしていたようです。

 しかし、あるとき、支店長に
 「三浦さんはいいことを言っていると思うよ。ただ、言いっぱなしなんだよね」
 と言われ、気づきがあったそうです。

 以来、相手に不満や文句を言うのではなく、自分の言ったことに責任を持ち、提案型の発言をするようになったのです。

 私はこのエピソードを読みながら、glorious discontent (栄誉ある不満)という言葉を思い出しました。この言葉は、不満を口に出したら、それを自分の責任として解決しなくてはならない、という意味を含んでいます。自分で解決すると決意して口にした不満だからこそ、栄誉ある不満となるのです。
 
 何の経歴もないパートの中年女性が、試行錯誤を繰り返して、自分自身を変えながら、新しいことに意欲的にチャレンジされていく姿は素晴らしいです。
 行動力の高さとともに、能力の高さや、地あたまの良さを感じました。

 私も月に10回以上は新幹線を使い、ある売店では定期的に週刊誌を買いますし、ときにはミネラルウォーターやサンドイッチを買うこともありますので、見覚えのある販売員の方も結構います。
 でも、販売員の方にとっては、私は大勢のなかの一人に過ぎないのです。

 三浦さんは「お弁当は渡し方で味が変わる」とおっしゃっています。

 同じ商品を売っていても、売る人によって商品の印象は全く変わります。
 はじめはピンとこない商品でも、志の高い方が心をこめて説明すれば、輝いて見えるようになり、ぜひ手に入れたい、と思ってしまうのです。

 三浦さんのようにお客さまと会話のできる志の高い駅弁販売員がおられたら、すぐに目立つし、お客さまも楽しいだろうなあと思いました。
 
 もう年だし、経験がないから新しいことはできない、したくない、と言い訳をしている方、小売りやサービスの現場でお仕事をなさっている方には、大変参考になる本です。ぜひご一読くださいませ。
 
 参考文献:『1年で駅弁売上を5000万円アップさせたパート主婦が明かす奇跡のサービス』 三浦由紀江 (ダイヤモンド社)
 

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