紳助さんの『自己プロデュース力』の読書感想の続きです。
タレントとして売れるためにはどうしたらいいのか?という問いに対して、紳助さんは「極秘」として、話を明かしてくれます。
タレントは忙しいからいろいろな分野のことを勉強している時間がありません。しかし、一分野でも一箇所でも人より深かったら、何でも知っていると人は勝手に思い込んでくれるそうです。
そこで、紳助さんは、一分野につき一箇所だけ掘り下げて、全部を知っているような顔をすればいい、といいます。
例えば、好きな野球選手を聞かれたときに、清原や金本という答えでは、メジャーすぎて、話が続きません。
しかし、藤本や赤松ということになると、一般の人にはあまり知られておりませんので、その一人について詳しく調べておいて、その生い立ちや成績などを語ることが出来れば、野球に非常に詳しい人であると錯覚されるというのです。
全体を知らなくても、細部を熱く語る、という一種のトリックです。
この方法は、私も新卒で入社した証券会社の営業マンだったころ、無意識に使っていたような気がします。
証券会社のお客様ともなれば、投資経験をかなりおもちで、百戦錬磨の方ばかりです。
同じ銘柄をずっと注目されている方に、その銘柄のことを聞かれても、素人の私にはまったく太刀打ちできません。
そこで、私としては、マイナーな銘柄の情報や、アメリカの経済データ、日経新聞のコラムなどを調べて、自分の得意な話題にもっていくようにしておりました。
しかし、それもそんなには続かず、何回かお会いしているうちに、知識が無い新入社員ということがだんだんとばれてしまいます。最終的には人間性をみてもらうしかありませんでした。
トリック的な手法は、テレビ対視聴者であれば有効かもしれませんが、長い期間にわたって人格をさらしあう人間関係では、難しいのではないかなと思いました。
紳助さんが教えてくださったのこの話題は、逆に考えれば、我々にテレビという権威のあるものをどういう眼で見ればよいのか、教えてくださっているような気がしました。
参考文献:『自己プロデュース力』 島田紳助 (ヨシモトブックス)