ワタミの渡邉美樹会長は、1992年に、順調だった「つぼ八」13店舗をやめて、「和民」にお店を変えたことが、経営者としての最大の決断だったといいます。
そのとき渡邉会長は、ある事情により「つぼ八」を続けるか、「和民」に変えるか、という選択を迫られていました。
お店を「和民」に変えれば、利益が出なくなることがわかっていました。
実際にお店を変えると、だんだんと資金繰りが苦しくなり、会社が潰れて人生が終わるかもしれないと思ったそうです。
しかし、潰れてもいい、という腹のくくりがあったのです。
それは、会社が生き残るよりも、「自分が自分らしくあること」のほうが大事だと考えていたからです。
利益よりも「自分らしくあること」を選択するのは、経営者の原理原則からいえば間違っているのかもしれませんが、人間としての原理原則からは正しかったのだといいます。
普通の経営者ならば、目の前にある利益を確実に取ることが会社のためになると判断します。会社を経営するものとして、間違ってはいません。
渡邉会長が「自分らしくあること」が大切だと言い切れるのは、自分の生き方を信じ、強い信念をもっておられるからだと思います。
そう言い切れるからこそ、優れた経営者、優良企業として、いつもピカピカと光っているのです。
8~9年くらい前のことですが、渡邉会長(当時は社長)を囲むセミナーに参加したことがありました。
お話の後の質疑応答の時間に、私はあるビジネスの構想について「○○の方法で○○の事業をやってみたいのですが、どう思われますか?」というような質問をしました。
渡邉会長は明確に「全く賛成できない」と答えられ、その理由を説明してくださいました。
その頃の私は、勉強不足、経験不足で、その答えが感情的なものではないか?と訝しがったのですが、その後仕事の経験を積んでいるうちに、今では会長がなぜそう答えられたのか、よく理解出来るようになりました。
ひと言でいえば、その事業をしていると「自分らしくあること」が出来ない、ということです。
渡邉会長の生き方は、曇りもなく、隙もなくて、どの本を読んでも、自分の弱さを指摘されているようで恥ずかしく、姿勢を正さずにはいられないような気持ちになります。
かなわないな~と、坐禅を組むような気持ちで読んでいます。
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参考文献:『強運になる4つの方程式 もうダメだ、をいかに乗り切るか』 渡邉美樹 (祥伝社新書)