『「戦う組織」の作り方』を読んで
属人的な能力に頼る経営は家業の段階であり、企業として規模拡大をしていくにはマネジメントの体制をつくっていくことが必要になるという話を以前に書いた。
参考:『家業とマネジメント』
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e282327.html
このとき私は社員や管理職をマネジメントに組み込んでいくことを想定していた。
しかし、ワタミ株式会社の会長である渡邉美樹さんの『「戦う組織」の作り方』を読むと、ワタミでは、トップマネジメントでさえも属人的な能力に頼らない組織にされているようだ。
渡邉さんは、永年の積み重ねによって、「三秒で物事を判断する」ことができるそうだが、こういった能力をリーダーの条件として求めるのは間違っているという。
ワタミの6月の株主総会で決まった組織改革では、それまでの渡邉さんを大黒柱とするワンマン経営から、集団指導体制へ移行していくという。
役員会がチーム体制で経営の意思決定を行い、各社の社長がCOOとして会社の運営をしていく。そして新たに配置したCFOがその経営をチェックする。
リーダーに特別な能力がないと成り立たないような組織では、50年、100年と会社が続いていくのは難しい、と書かれている。
一般的な中小企業であれば、社長のもつパワーや人格やカリスマ性といったようなものが、その企業の経営に相当寄与している。
社長が代わることにより、業績が(良くも悪くも)変わったというのはよく聞く話である。
上場企業でさえ、創業社長から後継社長へ経営が代わると、問題が発生することがある。
それだけトップマネジメントの影響力は大きいのだ。
もし自分に何かがあったとき、そのあとも経営を維持していくことはできるのだろうかと考えると、不安な面が多い。
渡邉さんはそういう不安を一掃するために、集団指導体制をつくられたのだろう。個人の能力に頼らずに、組織として企業を永く永く経営していくためにはどうしたらいいのか、身の回りのことも不完全な私にはまだまだ先の話だけれども、渡邉さんの決断には共感できた。
参考:『「戦う組織」の作り方』渡邉美樹(PHP新書)
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