自分は人からどう思われているか?

Hitoshi Yonezu

2008年10月21日 16:25

 和田裕美さんの『人づきあいのレッスン』に「想像印象」という言葉が出ていました。初めての人と会うときに、その方に対してあらかじめもっているイメージのことだそうです。事前に経歴を拝見したり、人づてにお話を伺っていると、その方に対する先入観がおおよそ出来てしまいますよね。
 和田さんは営業のコンサルタントですから、初めて会う人からはアグレッシブな強いイメージをもたれていることが多いのだそうです。実際のところ、営業のマネージャーをしていたときには強く見せる必要があったので、パンツスーツを着用することが多かったそうです。しかし、本当の自分はちょっと違う。実はワンピースが好きとのこと。今では想像印象を裏切るべく、本当の自分を見せたいと自己主張をされているそうです。
 私も御著書を読むまでは、和田さんのことを、バリバリで積極的な営業ウーマンなんだろうなと勝手に想像していました。しかし、その文章を読んでみると、どう読んでも、優しい、はんなり、おっとり、というイメージしか見えてこないのです。このギャップが和田さんのすごいところなんだろうと思います。想像印象どおりに、ハイヒールをカツカツと鳴らしながら歩いてくるような営業ウーマンだったら、ありきたりすぎて、サプライズがないのです。和田さんくらいのレベルになると、ごく自然に女性らしいイメージを出していくことで、逆にますます強くなっていかれるのでしょう。
 最近、あるお客様が、私の髪型とも言えないような涼しい頭を見て、
 「米津君の髪型は、俺に言わせれば、QPちゃんなんだよね」
 とおっしゃったのです。私は自分がQPちゃんだなんて考えたこともなかったので、
 (えっ、俺の髪型はQPちゃんに見えるのか~)
 と、はっとしました。しかし、同時に、
 (もしかしたら、俺の周りの人たちはみんな、俺のことをQPちゃんだと思っていて、「おい!QP」と呼びたいのに、俺の面前で言うと失礼になると思って、心の中でとめているのではないかな~)
 とも思ったのです。これが本当なら、私がQPと呼ばれることを許容することによって、どんなにかみなさんの溜飲が下がることでしょうか。
 はげている人は髪の毛がたくさんあるように、太っている人はやせているように、やせている人はたくましいように見られたいと思うものです。その恥ずかしい(と思っている)自分を隠さずに、自分の特徴として受け入れたとき、人からはとても分かりやすい、人から好かれやすい、ありのままの自分を表現できるのではないかなと思いました。それには人から教えてもらわないと分からないのです。
 和田さんは営業コンサルタントとしては強く見せた方が受けがいいはずなのに、御著書を読めば読むほど、自分の弱さを露呈しているのです。本当の自分がよくわかっておられる。だから人から好かれ、人が集まってくるのでしょう。

参考文献:『人づきあいのレッスン』和田裕美(ダイヤモンド社)
(男性の方は敬遠しがちな書物だと思いますが、女性の心理も分かり、勉強になります。ぜひ、ご参考になさってください。)


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