品を保つ
曽野綾子さんは1931年のお生まれだそうですから、御年82歳ですね・・・・・・
近ごろ話題になっている曽野さんのご著書『人間にとって成熟とは何か』より引用します。
品を保つということは、一人で人生を戦うことなのだろう。それは別にお高く止まる態度を取るということではない。自分を失わずに、誰とでも穏やかに心を開いて会話ができ、相手と同感するところと、拒否すべき点とを明確に見極め、その中にあって決して流されないことである。この姿勢を保つには、その人自身が、川の流れの中に立つ杭のようでなければならない。この比喩は決してすてきな光景ではないのだが、私は川の中の杭という存在に深い尊敬を持っているのである。
『人間にとって成熟とは何か』 p100より引用
・・・・・・品を保つということは、一人で人生を戦うことなのだろう・・・・・・
この本の中でもっとも共感した一文です。
いまや携帯やらSNSやらで社会や友達とつながり続けることが生活の一部になってしまいました。
電車で子供を横に座らせていても、他の誰かとつながっていたいらしいお母さんは、スマホの操作に集中しています。
逆に、つき合いもそこそこにサッと帰ってしまう友人とは与太話をすることもできませんが、むしろその方が、品を保っているといえるのだろうと思います。
ひとり独自の道を歩くことは、ときに周りから疎外されてしまうこともあります。
ビジネスを成功させるには、暗い夜道を一人とぼとぼ歩いて行かねばならない時期がある、と私の師匠がよくおっしゃっています。
ついてくる人がいなくても、しばらく芽が出ない時期が続いたとしても、自分の信じた道を一歩一歩進んでいかねばならないときがあるというのです。
時期と申しましたが、かなり長い間ずっとそんな状態が続くのかもしれません。
やがて、かすかな明かりが見えてくると、一人、二人と後からついてくる仲間があらわれてくるそうです。
自分の道を信じて歩くしかありません。
そして、そうなったと確信できるまでは一人で歩くしかありません。
後で振り返ったとき、自分らしく生きることができたかどうか、ということです。
流木となって川に流されてしまうよりは、杭になっていたほうが自分の人生に確からしさがあるだろう、と感じたことです。
参考文献:『人間にとって成熟とは何か』 曽野綾子 (幻冬舎新書)
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