『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』を読んで
成毛眞さんのご著書『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』を拝読いたしました。
成毛さんは1955年北海道生まれ、中央大学商学部卒業後、アスキーに入社、のちにマイクロソフトに転じて、代表取締役社長を務められました。2000年、インスパイアを設立し、、代表取締役社長に就任、現在は取締役ファウンダーに、また、おすすめ本の紹介サイト「HONZ」の代表も兼任されています。
以前、成毛さんのご著書『マーケティング辻説法』がビジネス読書会の課題図書になったことがあり、このブログでもご紹介しました。
『成毛眞のマーケティング辻説法』を読んで
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1078029.html
道中すべてをマーケティングせよ
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1081577.html
「最低レベル」を切る
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1082189.html
8月の読書会(平成24年)
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1084078.html
この本は40才代以上の会社員の方に向けて、脱力した生き方を進めるものです。マイクロソフトの社長まで務めた方が後進に対して脱力系の生き方を進めるのは意外です。
経営者に向けてではなくてあくまでも会社員に向けて書かれています。
いま、四十代以上のビジネスマンが考えるべきは、いかに会社で息を潜め、”外の世界を切り拓くか”である。ストレスがかからない仕事を選び、健康な身体を保ちながら、趣味やサイドビジネスに全力を注ぐ。クマムシは仰向けになるとなかなか起き上がれないので、転ばないように注意しなければならない。
『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』 はじめに p3より引用
成毛さんはマイクロソフトの中で出世をして社長にまで上り詰めた方ですが、そのイメージとは違って、仕事に打ち込むというタイプの方ではなかったのです。
私は人生とは道楽だと思っているし、とことん楽しむために生まれてきたのだと思っている。仕事もその道楽の一つであり、生きがいや自己実現を考えたことなど一度もない。
『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』 p37より引用
オーナー系社長ではなく、雇われた社長としての考え方です。
私は四十五歳のときに、マイクロソフトの社長という肩書をすっぱりと捨てた。
IT業界の成長が頭打ちになるのはわかっていたし、仕事にもそろそろ飽きていた。そのままマイクロソフトに居続けたところで、アメリカ本社に栄転というゴールしかなかった。私にとってそのゴールはとくに魅力的ではなかったので、「すごろく」でゴールにたどり着く前に、さっさとゲームを降りてしまったようなものだ。
『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』 p57より引用
私のような零細企業の社長と並べるのは大変失礼ではありますが、私には「飽きたから降りる」という考え方はあり得ないので違和感があるところです。
成毛さんはミドルエイジの「七つの武器」というものを紹介されています。本来ミドルエイジにとって弱みになるはずの七つの特徴を逆に武器にしてしまうのです。このあたりはとても実際的ですのでおもしろかったです。私にも使えそうなものがありました。
ミドルエイジの武器①未来がない
ミドルエイジの武器②ハングリーではない
ミドルエイジの武器③冒険心がない
ミドルエイジの武器④体力がない
ミドルエイジの武器⑤記憶力が弱い
ミドルエイジの武器⑥感性がにぶい
ミドルエイジの武器⑦ずるい
成毛さんはいろいろなこと知っておられますし、本も相当読んでおられるようですので、読み物としては大変興味深いです。
ただ、やや「上から目線」であることと、ビジネスでも大成功された方だからこそ、後から「脱力」といっているのかな、という感がないでもありません。開き直っているような感じも受けました。
仕事以外に何か太いものをもつことには賛成ですが、一般の会社員全員がこの生き方ができるわけでもないですし、そうなってしまったら日本のビジネスの将来は心配です・・・・・・
ビジネス関連はまじめな本が多いですから、こういう視点が違う本もいいですね。ご参考になさってください。
参考文献:『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』 成毛眞 (PHP研究所)
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