『挫折を愛する』を読んで
松岡修造さんのご著書『挫折を愛する』を拝読いたしました。
松岡さんは1967年、東京都に生まれました。(私と同じ年です。)10歳から本格的にテニスを始め、慶応義塾高校2年のときに、テニスの名門である福岡県の柳川高校に編入します。その後単身米フロリダ州に渡り、86年、プロに転向されました。怪我に苦しみながらも、92年6月にはシングルス世界ランキング46位に、95年にはウィンブルドンでベスト8に進出されました。
98年に現役を退き、現在は後進の育成やテニス界の発展に尽くしながら、スポーツキャスターなどメディアで活躍されています。
この本はスポーツ選手として活躍されたご自身の体験や、取材を通じて知った数多くの有名スポーツ選手の活躍の裏側を知ることができるものです。
松岡さんの考える挫折とはどんなものでしょうか。「おわりに」より引用します。
目標が何もなければ挫折するわけがない。「どうでもいいや」と思うものに挫折する人もいません。目標をしっかり持って全力で頑張ったらからこそ、人は必然的に挫折するのです。挫折を感じるほど一所懸命になっているのですから、むしろ「幸せだ」と感じてもいいくらいだと思います。
『挫折を愛する』p195より引用
私が感動したのは、イチロー選手のエピソードです。マリナーズに移籍してしばらく結果が出なかったイチロー選手はコーチから打ち方を変えるようにと指示されたそうです。とりあえずは「イエス」と答えたそうですが、少し変えただけで全然直さなかったそうです。
のちに、その理由を僕が尋ねると、イチロー選手はこう答えてくれました。
「人の意見や評価ほど曖昧なものはないから」
僕はこの言葉が好きです。自分の想いを貫き通す大切さを教えてくれるだけでなく、周りの評価をつい気にしてしまう僕の不安を取り除いてくれるからです。
「人というのは勝手なことを言う生き物だ。人から何か言われたとしても、あてにならないことはたくさんある。だから、すべて受け入れる必要はないんだ」
と言ってもらっているようで安心します。
『挫折を愛する』p173より引用
松岡さんが毎日鏡に向かって唱えている誓いの言葉も紹介させていただきます。
独立決断
自分はけが、病気は絶対しません
怒らず、恐れず、悲しまず
正直、親切、愉快に
力と勇気と信念を持って
自己に対する責務を果たし
愛と平和とを失わざる今日一日
○○、○○、○○(家族の名前を入れて)と、厳かに生きていくことを誓います。
『挫折を愛する』p110より引用
こういうのはいいですね。実は私も毎日の誓いの言葉がありますが、私のに比べると松岡さんのは分かりやすくていいなあ、と思いました。
松岡さんは数多くのスポーツ選手を取材されていますので、いろいろな事例をもっておられます。
スポーツが好きな方、心が折れやすくなってしまっている方はぜひご一読ください。
参考文献:『挫折を愛する』 松岡修造 (角川oneテーマ21)
関連記事