『迷い婚と悟り婚』を読んで

Hitoshi Yonezu

2012年09月14日 10:00

 島田雅彦さんの『迷い婚と悟り婚』を拝読いたしました。

 島田さんは1961年東京都生まれ、東京外国語大学ロシア語学科を卒業されました。
 83年大学在学中に書いた『優しいサヨクのための嬉遊曲』が芥川賞候補となり、作家としてデビュー、その後さまざまな文学賞を受賞されています。とても有名な小説家ですね。
 現在は法政大学国際文化学部教授も務められています。

 私は高校生の頃から島田さんの顔も小説も存じておりましたが、お恥ずかしながら一度も読んだことがありません。この本は小説ではなく、エッセイ的なものですが、私にとっては初めての島田さんの本です。

 この本は結婚できない人向けに結婚の必要性を説いたものです。内容は真面目な話だけではなく冗談ぽい部分も混ざっています。巻末の光浦靖子さんとの特別対談や「あとがきに代えて」を読めばよく分かります。

 この本の内容は自分にも関係していることなので、書店ですぐに目に飛び込んできました。

 島田さんのいう迷い婚、悟り婚とは次のようなことを指しています。

 結婚に躊躇し、傷つき、どっちつかずの状態に陥ることを「迷い婚」と呼び、その迷いを振り払い、大きな決断に踏み出したり、結婚にまつわる偏見や先入観から自由になり、深く思い悩むことから解放されることを「悟り婚」と呼んでみることにする。
  
           『迷い婚と悟り婚』より引用

  
 島田さんは結婚をすすめる理由として次の七つを挙げておられます。

 ①子供が作れる
 ②毎日、会える
 ③食卓を囲むことができる
 ④経済状態が上向く
 ⑤心の支えができる
 ⑥信用が高まる
 ⑦離婚できる

            『迷い婚と悟り婚』より引用


 どれも当たり前のことです。

 私にとっては、①②③⑤⑥は共感できること、④はどちらでもいいこと、⑦は期待したくないことです。

 ⑥「信用が高まる」は全くその通りで、初対面の方に私が独身だと分かるとみんなびっくりして、同時に「何かあるのでは???」と不審がられます。

 この本で紹介されている次のデータは衝撃的でした。

 五〇歳までに一度も結婚したことがないケースを称する「生涯未婚」。この割合が二〇一〇年の統計で、男性二〇.一%、女性一〇.六%(国立社会保障・人口問題研究所)。また「三五歳を過ぎて結婚できた男性は全体の三%、女性は二%」(二〇一〇年国勢調査)という数字もある。

          『迷い婚と悟り婚』より引用

                
 怖い数字ですね。

 独身の方はご一読くださいませ。

  


 参考文献:『迷い婚と悟り婚』 島田雅彦 (PHP新書)
 



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