この人が自分の妹でも
松浦弥太郎さんの『今日もていねいに。』より引用します。
僕は、仕事で関わる人すべてと、家族のような関係になるのが理想だと思っています。だから取引先に要求をするときには、こんな自問をしています。
「この人が自分の妹でも、僕はこんな無理な取引条件を押し付けるだろうか?」
答えがノーなら、その条件は間違っているということです。
『今日もていねいに』より引用
「利は元にあり」という言葉がありますが、お客さまにお役に立って会社を継続していくためには、仕入れをしっかりしなくてはいけないと思います。
社員が新しい仕入先を探してくると私は「よく見極めて長くお付き合いしているお取引先さまは大切にしてほしい」と伝えます。
しかし、新しい仕入先が、品物がよい、対応も早い、値段も安い、知識も豊富、というのであれば、どうしてもそちらから仕入れざるをえなくなってしまいます。
その場合にはいまの仕入先に新しい条件を提示してみてそれが可能かどうかを伺うことになります。
これらのプロセスは当社にとっては必ずやらねばならないことですが、旧取引先にとっては気持ちのよいものではないでしょう。特に自営業でなさっている方には理解されず、大きな反発を買うことになります。
かといって、お客さまのご満足を考えれば、ここを甘くあやふやにしておくこともできないのです。
松浦さんの「自分の妹でも」というくだりには、大きな優しさを感じました。私にはこういう発想はありませんでした。
お取引先さまへの優しさと厳しさ、このバランスが大切なのだと思います。
参考文献:
『今日もていねいに。 暮らしの中の工夫と発見ノート』 松浦弥太郎 (PHP文庫)
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