飛び出してみたら

Hitoshi Yonezu

2012年05月21日 10:00

 内館牧子さんの『夢を叶える夢を見た』は、夢の実現のために飛び出した人と、とどまった人、また飛び出した人のなかでも成功した人と失敗した人を追って取材したノンフィクションです。

 内館さんは、夢のために現状を捨てて飛び出すためには「その人の性格」が深くかかわっているといいます。その性格は四つに分類されるそうです。

 ①深く考えない性格
 ②見切れる性格
 ③自分に自信を持てる性格
 ④好戦的な性格

                   『夢を叶える夢を見た』より引用


 飛び出すために、これらの性格が必要なのはなんとなく分かります。

 これらは経営者として成功するためにも必要なものではないか、と私は感じました。私自身、これらの性格が自分に具わっているとは思えません。特に①と④が弱いと思います。考えて過ぎてしまうことがありますし、戦いはあまり好きではありません。

 どういうタイミングで見切るかということについて内館さんは次のように述べています。

 私は脚本家を目指している人たちに質問されると、答える。
 「二年間、必死に頑張ってみて、それで芽が出なかったら別の仕事を考えたらどうかしら。『今にきっと、今にきっと』って思い続けて年齢を重ねると、もうやり直しがきかなくなることがあるでしょう。時間を二年間に区切って、それでダメならスパッと見切ることも大切だと思うわ」

                  『夢を叶える夢を見た』より引用


 飛び出す決断も勇気がいるでしょうが、見切る決断はもっと勇気がいります。

 転職したり、独立したりするときには、たとえ法人登記をしなかったとしても、ビジネスであるという認識が必要なのではないかと思います。

 個人の場合は損益あるいはキャッシュフローだけを考えてしまいがちですが、ビジネスということであれば損益計算書、貸借対照表、双方の考え方が不可欠です。
 貸借対照表が一向に改善されないのであれば、たとえキャッシュがまわっていたとしても、見切ることも考えねばならないのです。会社であれば、いつたたむかという決断です。
 この場合、貸借対照表には、他人にお世話になったことや家族の協力、負担など、金額に表せない負債も考慮せねばならないかもしれません。

 そういうものが見えないとしたら、自分を痛めながら際限なく続けてしまいます。

 内館さんのおっしゃるように期限を決めることが大切になってくるのです。

 この本は独立や転職を考えている人には共感できる部分が多いのではないでしょうか。

 どうぞご参考になさってください。
 
  


 参考文献:『夢を叶える夢を見た』 内館牧子 (幻冬舎文庫)
 

 参考ブログ:「『夢を叶える夢を見た』を読んで」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1010892.html

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