蜂の怒り

2010年06月04日

 
木ばさみの白刃(しらは)に蜂のいかりかな      白雄



 庭の花木を切ろうとしてか、木鋏を動かすとその白刃の反射する陽光に射られて、花にいた蜂が怒りの表情を見せて飛ぶ、という。(『百人一句』より引用)


 加舎白雄は上田藩松平家の家臣、加舎忠兵衛吉亨の次男として江戸深川の藩邸に生まれた。二十歳代半ばで俳諧を知り、烏明に師事したが、その才能は師を越えていたといわれ、烏明派に対抗して自門の経営に努め、その弟子は4000人を数えたという。

 ここ上田市では、芭蕉よりも、蕪村よりも親しまれている俳人だ。
 
 前に、地元の商工会で街路樹の蜂の巣の駆除をしたときのことだ。

 蜂の巣に殺虫剤をスプレーすると、蜂がブーンと大きな羽音を立てて、我々に向かってきた。かなり怒っているようだった。

 白雄は花の木を切ろうとしたわけだが、江戸時代も今も、蜂が怒るのはそう変わるものではないのだ。

 話が少々汚くなってしまうが、私の家の部屋に入り込んできた蠅も、蚊も、叩こうとすると、蜂と同じように、まるでターボを効かせたかのように、ブォーンと向かってくる。

 たしかに怒っている。白雄は面白いことに気がついたものだ。

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 参考文献:『百人一句』 高橋睦郎 (中公新書)
 

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