ドラッカーの「時間」のまとめ方

2023年10月06日

 日照りの夏が終わり、突然秋がやってきた感じがします。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 さて、前回はドラッカーの『経営者の条件』から、成果を上げるための五つの条件(時間、貢献、強み、集中、意思決定)をご紹介しました。

 今回はその五つの条件のうちの「時間」について読んでみます。成果を上げるための時間の使い方とはどんなものでしょうか。
 
 時間の使い方は練習によって改善できる。だがたえず努力をしないかぎり、仕事に流される。したがって次にくる一歩は体系的な時間の管理である。時間を浪費する非生産的な活動を見つけ、排除していくことである。そのための方法は三つある。

 第一に、する必要のまったくない仕事、何の成果も生まない時間の浪費である仕事を見つけ、捨てることである。すべての仕事について、まったくしなかったならば何が起こるかを考える。何も起こらないが答えであるならば、その仕事は直ちにやめるべきである。
 第二に、他の人間でもやれることは何かを考えることである。毎晩会食していた社長は、さらに三分の一はほかの幹部に任せられることを知った。参席者のリストに社名が出ていればよかった。
 時間管理のための第三の方法は、自らがコントロールし、自らが取り除くことのできる時間浪費の原因を排除することである。人は、他人の時間まで浪費していることがある。
 そのような時間の浪費が簡単にわかる徴候はなくとも、発見のための簡単な方法はある。聞くことである。「あなたの仕事に貢献せず、ただ時間を浪費させるようなことを私は何かしているか」と定期的に聞けばよい。

   P.F.ドラッカー『経営者の条件』p58-61より抽出、編集して引用


 コロナ禍を通じて、私は時間の使い方がだいぶ変わりました。おそらく、多くの人もそうではなかったかと思います。

 特に、二番目の事例にもありますが、会食の機会がだいぶ減りました。そして、会食をしなくても何とかなる・・・という空気が社会に生まれました。

 私は宴会場を経営しておりましたので、宴会を盛り上げようと、どの店であろうと、いままでできる限り宴会には参加してきましたが、これほど宴会のなかった期間はいまだかつてありませんでした。この期間を通じて、ノンアルコールの日が、人生で最も増えてきました。(健康のために良いことです。)

 成果をあげるには自由に使える時間を大きくまとめる必要がある。大きくまとまった時間が必要なこと、小さな時間は役に立たないことを認識しなければならない。たとえ一日の四分の一であっても、まとまった時間であれば重要なことをするには十分である。逆にたとえ一日の四分の三であってもその多くが細切れではあまり役に立たない。
 したがって時間管理の最終段階は、時間の記録と仕事の整理によってもたらされた自由な時間をまとめることである。
 時間をまとめるには方法がある。ある人たち、なかでも年配の人たちは、週に一日は家で仕事をしている。編集者や研究者がよく使う方法である。
 ある人は会議や打ち合わせなど日常の仕事を週に二日、例えば月曜日と金曜日に集め、他の日、特に午前中は重要な問題についての集中的かつ継続的な検討に充てている。

               P.F.ドラッカー『経営者の条件』p73より引用


 ドラッカーの成果を上げるための時間の使い方とは、以下のようなものではないかと思います。

 自分の時間の使い方をよく調べて、時間の浪費があるのだとしたら、それらを廃棄します。そこに細切れの時間が生まれます。
 そこで生み出された細切れの時間を大きくまとめていって、自由な時間の大きな塊をつくります。
 そこで出来た時間の塊を、やりたいこと、やるべきことに投入していくということです。

 誰にも邪魔されないように、ホテルで一泊二日の一人合宿をする方法もあるでしょう。私は経営計画書を作るための合宿や、社長としての個人計画を作るための泊まり込みの合宿に、かつて何度も参加したことがあります。

 そこまでしなくても、カラオケボックスに入ったり(歌うためではありません)、JR東日本のステーションワークに入って集中するのもよいでしょう。平日昼間のカラオケボックスの料金はとても安いです。最近、長野駅や上田駅にもステーションワークはあります。

 「する必要のまったくない仕事」「何の成果も生まない時間の浪費である仕事」というドラッカーの言葉を冒頭でご紹介しましたが、改めて、ここはよく考えてください。
 
 子供や親との食事、会社の同僚との共有時間、コーヒーを入れる時間など、人によって異なりますが、そのようないつもの時間がその人にとって、とても大切な時間である場合があります。間違って大切な時間を捨てることのないようにしてほしいものです。
 
 私は自分のシャツやパンツ(ズボン)はすべて自分でアイロンをかけていますが、この時間は結構好きです。アイロンに集中できるからです。(坐禅をしているのと同じだと思っています。)

 どうかすてきな秋をお過ごしください。

 いつもご利用ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。
 
 参考文献:
  『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

 『マネジメント(上)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

"Management Tasks,Responsibilities,Practices" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books