生産性向上と仕事の満足

2016年09月01日

 朝夕日毎に涼しくなってまいりました。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 さて、最近は有効な経済政策があまり出てこなくなってきたような気がします。戦後の高度成長を演出した目の覚めるような政策はもう出てこないのでしょうか。ドラッカーは1969年の『断絶の時代』で次のように述べています。

 イノベーションと技術変化の時代にあっては経済政策が難しい。おそらく企業家が行うべきことよりも難しい。特に新しい産業が生まれる時代にあっては、政策が生産資源の移動を妨げることがあってはならない。人と資金は、常に最も生産的な仕事に移動できなければならない。

              『断絶の時代』 p48より引用


 国境を超える場合の制限はまだ多いですね。
 経済活動とは関係がありませんが、リオデジャネイロオリンピックに出場した選手の所属国を見ていましたら、前回のロンドンオリンピックのときとは別の国籍に変更している選手がちらほらいました。条件によっては人は自由に移動しています。
 資金の移動という面では、友人の中で海外でビジネスを行う方が増えてきました。大企業は当然ですが、中小企業においても投資活動が国境を超えることは珍しくなくなってきています。
 
 人の移動の自由は一人ひとりの人間にとって必要である。生産的でない雇用は所得も低い。生産的な仕事への移動を妨げることは、結局は低い所得を押しつけることになる。事実そのような政策は、一人ひとりの人間に対し、失業あるいはその不安をもたらす。

              『断絶の時代』 p48より引用


 新興国の方がさまざまな方法や経路を通じて、生産性の高い我が国のビジネスに関わり始めていることを考えると、人の移動はますます活発化していくのでしょう。

 生産的であれば仕事は楽しく満足も大きい。このことは、生産的な仕事が知識労働となっている今日特にいえる。知識労働では、仕事を楽しみ、かつ仕事に誇りをもちつつ、生計を立てることができる。
  
              『断絶の時代』 p48より引用


 越境するかせざるかに関わらず、生産的な仕事を選択したほうが、働く人は満足し仕事も楽しくなるのです。我が国ではどんな仕事であろうと少なからず知識が必要ですから、働く人にとっては、生産的な仕事を選ぶこと、仕事を生産的にしていくことは大変重要です。

 最近、アマゾン奥地の部族を取材したテレビ番組を見ました。そこで「今の暮らしは幸せか?」という質問に対して「幸せかどうかは分からない」と答えていたのは大変印象的でした。

 自由気ままに暮らしている人を見てうらやましがる構図は表面的であって、本質的ではないかもしれません。生産性を上げるという取り組みは資本家や経営者のためと思われていますが、実は大いに働く人のためでもあるのです。

 いつもご利用ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。
 
 参考文献:
 『断絶の時代』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

  

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