失敗を失敗で終わらせない
日本マクドナルドホールディングスの会長兼社長兼CEOの原田泳幸さんは、かつてシステムの技術職として働いておられたとき、スーパーマーケットでPOSの通信トラブルのクレームを受けたことがあるそうです。
必死になって調べたところ、スーパーの改装時に大工さんがPOSターミナルの通信ケーブルに釘を打ち込んだことが原因だと分かりました。
自分のつくったシステムに責任があるのではないと分かった原田さんは内心ホッとして、スーパーの設備担当者のところへ行ったのだそうです。
「困るんですよね、ケーブルに釘を打たれたら。大工さんに注意してください。」
と言いました。すると、その設備担当者は一蹴。
「ふざけるな!君たちの作ったものに合わせて、スーパーを経営できるか。線が切れたくらいで壊れるような機械を作るな!」
めちゃくちゃなことを言う―予想外の反応に面食らいながらも、私は技術職の発想でクレーム対応していたことを思い知らされました。
『とことんやれば、必ずできる』より引用
システムをつくっている立場としては、大工さんが切ってしまったケーブルの責任までとらされるのはむちゃくちゃなことだ、といえるでしょう。それはその通りです。
もしも私がスーパーの担当者だったとしても、システムの担当者にそこまでは要求は出来ません。むしろ大工さんを呼び出してしまいます。法律からいっても契約からいってももそれが正しいでしょう。
しかし、そのときのスーパーの担当者の立場を考えますと、そこまで真剣だった、POSの調子が悪くて本当に困っていたのだ、と思います。
悩んだ原田さんは、改善策として断線箇所がないかを調べるソフトを入れ、断線した場合はバックアップ回線に自動的に切り替わるように設計し直しました。
この設計は後に実用新案の特許をとる技術に発展したのだそうです。
商売というのは確かに法律にも契約にも守られているのですが、法律でも契約でもない一面があり、それが商売を発展させているわけです。これこそは失敗を成功に変えたすばらしい例ですね。
私もお客さまにご迷惑をおかけすることがあります。ご迷惑をおかけしたことを出来る限り償って、会社を改善する方向にもっていかねばなりません。反省と努力の毎日です。
参考文献:『とことんやれば、必ずできる』 原田泳幸 (かんき出版)
参考ブログ:「マクドナルドの商法」
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e756430.html
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