『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』を読んで

Hitoshi Yonezu

2014年01月14日 10:00

 大城太さんの『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』を拝読いたしました。

 大城さんは複数の会社経営を行うかたわら、社団法人理事長やベンチャー企業への投資などもされているそうです。外資系保険会社、歯科用医療機器メーカーを経て独立する際に、大物華僑に師事したそうで、その教えがこの本の元になっています。

 大城さん自身や師事した大物華僑の経歴やプロフィールについての詳細ははっきりとは紹介されていません。また、華僑の教えがどのように成果に結びついたかについても具体的には明示されていないので、創作的に感じてしまう面もあります。教訓的な話は、それなりの方が話すから教訓になるからだと思います。

 それでもいくつか興味深い考え方もあったので、ご紹介します。

 いまの日本ではお願い営業は嫌われますが、華僑の考えはまったく違うものです。

 ビジネスは継続が前提ですので、たとえ利益が大きくても1回きりのやりとりにはあまり意味がありません。顧客とのキャッチボールを長く続けることが大切です。
 商品を売る場合も同じで、完全無欠な商品を売るよりも、あえて不完全な商品をお願いして買ってもらい、アフターフォローの機会を得るほうが賢いのです。
  
        『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』 p56より引用


 お願い営業によってクレームが出たとしても、きちんと対応することによって、接触する機会を作っていくということです。中国製のものに問題が多いのはこれとは関係はないと思いますが・・・・・・

 日本の企業においては価値観を共有することに力を入れています。華僑はやや違うようです。
 
 価値観が同じ集団の欠点は、二の矢を持たないことです。皆それぞれ違う価値観を持つ集団であれば、トップのありがたい金言を鵜呑みにすることはありませんし、誰かが間違えてもすぐに二の矢、三の矢を放つことができます。
 ですから私は、片目をつぶってちょうどよいくらいの人材、価値観の違う人材を歓迎します。「社長とは違うやり方でやってみたい」と言われたら、「とりあえずやってみろ」と背中を押します。

       『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』 p84-85より引用


 これは大切なことだと感じました。中小企業の場合、どの会社でもその社長らしい集団が出来てしまいますから、やや危険なことでもあります。あえて違う人材を入れることです。
 
 華僑のコミュニケーションに欠かせないものは食事会です。華僑は嫌いな人をあえて食事会に呼ぶそうです。

 呼ばざるを得ないから呼ぶのではなく、わざわざ自分から嫌いな人に声をかけるのです。
 嫌いな人を呼ぶために、その他大勢を呼ぶと言っても過言ではありません。大勢の中に紛れさせれば「嫌いな人度」が薄まりますからね。

        『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』 p139より引用 
 
 
 なぜ嫌いな人を呼ぶのでしょうか。

 嫌いな人を遠ざけると、考え方も情報も偏る。偏りは判断ミスになる。だから嫌いな人ほどつき合う価値がある。
 嫌い=価値観が違うということは、自分にない考え方や、自分のもとへは集まってこない情報の宝庫であるとも言えます。
          
        『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』 p140より引用


 これもおもしろいですね。

 私は華僑の考え方に興味があって読んでみました。

 軽く読める本です。ご興味のある方はご参考になさってください。
 
  


 参考文献:『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』 大城太 (日本実業出版社)
 
 



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