『クロネコヤマト「感動する企業」の秘密』を読んで

Hitoshi Yonezu

2013年12月05日 10:00

 石島洋一さんのご著書『クロネコヤマト「感動する企業」の秘密』を拝読いたしました。

 石島さんは1948年神奈川県秦野市生まれ、一橋大学経済学部卒業後、民間企業、東京都商工指導所、会計事務所勤務を経て、会計士事務所を設立されました。現在、石島公認会計士事務所所長としてご活躍されています。

 ヤマト運輸の社員や関係者に直接取材し、そのエピソードを中心として、ヤマト運輸という会社やそこで働く人の考え方を紹介してくれる本です。

 著者とヤマトホールディングスの瀬戸薫会長が高校時代の親友の関係にあるそうで、著者のヤマトに対する思い入れが強く、賛辞の多いやや偏った本になってしまっているような気がしました。

 この本を読む前に、ヤマト運輸の中興の祖、小倉昌男さんの『小倉昌男の経営学』を読んだ方がいいと思います。

 参考ブログ:第10回ビジネス読書会
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e858251.html

 クール宅急便の開発の際、冷蔵便は可能でも冷凍便は難しい、と考えられていたそうです。

 担当者はデータを取りそろえ「今は、冷凍品の流通需要など少ないから、宅急便で冷凍を扱うのは無理」と、小倉さんに報告しました。(p195)

 そのときの小倉さんの答えは次のようなものだったそうです。

 「このデータの見方は二通りある。需要がないから流通していないのか、需要があるのに流通させる仕組みがないのか。私は後者だと思う。君たちは見方が違うだろう。今は冷凍したものを配送する仕組みがないから流通しないだけだ。その仕組みを作れば大きな需要が生まれるはずだ」

        『クロネコヤマト「感動する企業」の秘密』 p195より引用
   


 セールスドライバーの人事制度改革について報告書を提出した小倉さんは次のような答えを返したそうです。

 「君、こんなのは大学を出た人の人事評価制度だ。全然ダメだ。君はフルーツポンチがなぜおいしいか知っているか。あれは、バナナ、ミカン、リンゴ、サクランボなどがシロップの中に浮いている。バナナは甘いからおいしい。リンゴは酸味があるからおいしい、ミカンはみずみずしさがあるからおいしいのだ。甘いという発想だけで評価してはいけない」

      『クロネコヤマト「感動する企業」の秘密』 p197-198より引用

 

 ヤマトは2019年に100周年を迎えるそうです。このときまでにグループの事業数を100まで伸ばそうという計画が進んでいるそうです。(p203)

 この本で解説されていますが、ヤマトは運輸業だけに限らず、運輸に付随したさまざまな業務を受けています。

 ヤマトの精神が分かる本です。みなさまもどうぞご参考になさってください。 

  


 参考文献:『クロネコヤマト「感動する企業」の秘密』 石島洋一 (PHPビジネス新書)
 


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