『最強「ご当地定番」のつくり方』を読んで
勝山良美さんのご著書『最強「ご当地定番」のつくり方』を拝読いたしました。
勝山さんは1951年北海道美唄市生まれで、すすきののレストラン「YOSHIMI本店」を中心に、札幌、仙台、東京、千葉、名古屋、福岡に、レストランやスープカリー専門店など13店舗を運営する北海道を代表する料理人兼経営者だそうです。2006年より観光土産品の開発に着手し、「カリカリまだある?」「Oh!焼きとうきび」など、ここ5年で開発・販売した自社ブランドやプロデュース商品は11ジャンル、25アイテムにのぼります。
観光地のお土産といえば、これだ!といえる昔からの定番商品がある一方で、魅力のない普通の商品も多いと感じます。
勝山さんの開発された「カリカリまだある?」「Oh!焼きとうきび」「コレット」「じゃがJ」などは、一般的には知らない人のほうが多いのではないかと思いますが、新千歳空港では目立つ位置に陳列されていますし、大変よく売れているそうです。
私も札幌に出張に行った際に「白い恋人」や「マルセイバターサンド」以外のものを探していて、知らないで購入していました。
いくつかの種類は食べてみましたが、今までにない感じのお菓子で、また食べたくなったり、人に教えたくなったりしました。
お土産のお菓子とは人にプレゼントするものですが、勝山さんは次のように述べています。
しかし、一過性に終わらず売れ続けているお土産菓子は、「自分が食べたい」という「自己消費型の商品」であると私は見ている。
私は、まずは地元・北海道の人が「自分たちが食べたいから買う商品」を目指した。地元の人がそれを食べた結果、他県にいる親戚や知人・友人に、自信をもってプレゼントしたくなる商品にしようと考えたのである。
『最強「ご当地定番」のつくり方』 p47より引用
確かに、自分でおいしいと思うから人にプレゼントするのですよね。「これおいしから食べてみて」と言わる方がもらう方としても楽しみですし、うれしいです。
「コレット」というトウモロコシのチョコレートは開発までに2年もの機関がかかったそうです。その結果生産コストも増えたそうです。
だからといって、安易に価格をあげることはしない。
なぜなら、「原価+利益=価格」という計算で値決めをした商品は、たとえ一時的に爆発的に売れたとしても、決して売れ続けることはないからだ。
「自分が客だったら、いくらなら買うか?」とお客様目線で決めた価格に収まるように、原料業者と折衝したり、製造工程を工夫したり、原料の比率に手を加えるなど、やれることをすべてやる。もちろん、このとき絶対にクオリティを落としてはいけない。
YOSHIMIのお土産菓子は、すべてそのようにして価格を決めてきた。
『最強「ご当地定番」のつくり方』 p101-102から引用
マークアップで価格を決めるのではなく、お客さまがいくらなら買うかと考える・・・・・・この視点はドラッカー的です。
お土産菓子というと地味な感じですが、この本を読んでみて、いくらでも改革ができるのではないか、と思いました。
他の成熟産業、衰退産業についても同様に思います。
みなさまもどうぞご参考になさってください。
参考文献:『最強「ご当地定番」のつくり方』 勝山良美 (日本実業出版社)
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