人の幸せのために

Hitoshi Yonezu

2008年12月30日 21:43

 京セラの創業者、稲盛和夫さんの思想は、ときにカルト的であると揶揄されることがあるようです。稲盛さんの考え方に、仏教や生長の家など宗教的な背景があるからなのでしょうか。
 周りからどのように評価されていようとも、私は稲盛さんは大変立派な経営者であると尊敬しておりますし、そのご著書にはいつも勇気づけられています。
 
 『「成功」と「失敗」の法則』は、そんな稲盛さんの思想がわかりやすくまとまっている書籍です。経営者やビジネスマンの方にはぜひ読んで頂きたいと思います。
 
 稲盛さんは、幸せとは主観的なものであり、幸せと感じられるのか感じられないのか、その成否はあくまでも当人の心の状態にあり、普遍的な基準はないといいます。
 膨れあがる欲望を満たそうとしている限り、幸福感を得ることはできないそうです。どれだけ利己的な欲望を抑え、他の人に善かれかしと願う「利他」の心を持てるかどうかが幸福への鍵だと説いています。

 この教えに従うならば、自分自身の日常に幸せを感じることができないとき、もっと、もっと、と自分の幸せのために行動するのではなく、他人の幸福を考えて行動することによって、光明が見えてきそうです。

 自分に幸せを感じていない人が他人の幸せために動くというのは、あまりにも暴論でしょうか。しかし、一生懸命努力しているのに、先が見えてこないのであれば、師の教えを信じて、舵を切ってみるのも一手です。少なくとも人様のためにはなるのです。

 募る煩悩を抑えて他人を幸せにするために行動すると決意すること、禁欲的で、克己的な決断ですが、ここには一つの扉があるのかもしれません。

 参考文献:『「成功」と「失敗」の法則』稲盛和夫(致知出版社)
 

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