『会社の目的は利益じゃない』を読んで
横田英毅さんのご著書『会社の目的は利益じゃない』を拝読いたしました。
横田さんは1943年生まれ、日本大学理工学部卒業後、カリフォルニアシティカレッジに留学されました。宇治電化学工業、四国車体工業での勤務を経て、1980年トヨタビスタ高知(現ネッツトヨタ南国)発足と同時に副社長に就任されました。1987年に同社代表取締役社長に就任し、2010年からは同社相談役を務められています。1917年より続く西山グループ(総資本600億円)の資本家の一員として、グループ各社の代表取締役も務められています。
横田さんの経営の考え方は、まさに本書の題名の通りです。
以前ご紹介しました大久保寛司さんの『二十一世紀残る経営、消える経営』の考え方によく似ています。いずれも経営品質の活動をされているからだと思います。
『二十一世紀残る経営、消える経営』を読んで
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1334110.html
大変おこがましいですが、当社も売り上げや利益を、目的にも目標にもしておりません。目標はお客様の求める状態をつくることです。
今月開催したお取引先さま説明会において、私は「当社は売上げや利益は目標にしておりません」と説明をいたしました。
その場では意見や質問は出なかったのですが、一部のお取引先さまが喫煙所で「売上げなんていいんだってさ。じゃーどうすればいいんだよ?」と私のことを揶揄していた・・・・・・と別のお取引先さまが後で教えてくれました(笑)
社員やお客さまにとっての価値を高めていくことを企業の目的にすることは、一般的にはほとんど納得されていないのです。
ネッツトヨタ南国の目的とは次のようなものです。
わが社の大切な目的は「全社員を勝利者にする」ことです。「勝利者」の頭に「人生の」という言葉をつけたほうがわかりやすいかもしれません。
「勝利者」を「成功者」と言い換えてもいいのですが、いろいろ解釈できる「勝利者」という表現のほうが、社員にとって考える余地ができていいだろうと思っています。
勝利者といっても「全社員」とつけていることからおわかりいただけるように、敗者の上に成り立つ勝利ではありません。要するに、「相対的に勝ち負けになるような価値で競わない」という意味です。では、絶対基準はどこにあるかというと、それは一人ひとりの可能性です。
一人ひとりがもっている可能性を、人生で最大限に発揮できる―。それができた人こそ、勝利者です。
『会社の目的は利益じゃない』 p16より引用
京セラとJALの経営理念には「全社員の物心両面の幸福を追求」という文言が入っていますが、同じことですね。
では、横田さんは今後どんな会社にされたいのでしょうか。
その際に必ずといっていいほど聞かれる質問が、「将来はどんな会社にしたいですか?」というものです。
私の答えは、「問題を発見し解決だけをしていればよく、問題対処をいっさいしなくていい会社にしたい」というものです。
解決すべき問題は、常に川上にあります。その問題を解決していないから、川下で問題が表面化します。
原理原則に照らして本質を見極め、表面化する前の川上にある問題解決に常に取り組むようにすれば、川下で表面化した問題をどうにかしようとする問題対処をしないですむわけです。
問題の根本を解決する姿が常態化している会社にしたい―これが私の願いです。
『会社の目的は利益じゃない』 p218より引用
横田さんの考えははっきりしていますし、それを実現しているネッツトヨタ南国はすごい会社だと思います。
みなさまもぜひご一読くださいませ。
参考文献:『会社の目的は利益じゃない』 横田英毅 (あさ出版)
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