『営業マンは断ることを覚えなさい』を読んで

Hitoshi Yonezu

2013年05月23日 10:00

 石原明さんの『営業マンは断ることを覚えなさい』を拝読いたしました。

 石原さんはヤマハ発動機を経て、1985年外資系教育会社代理店に入社、約6万人のセールスマンの中でトップクラスの成績を収め、「セールスマネージャー世界大賞」を受賞されました。1995年、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立され、以来講演活動、執筆、企業の顧問、幹部教育などでご活躍されているそうです。

 この本は2003年に明日香出版社より刊行された単行本を加筆のうえ、再編集したものです。話題になった本ですので、題名を聞いたことがある人は多いでしょう。5月29日の第29回ビジネス読書会の課題図書です。

 前半は営業を担当する人の具体的なの営業方法について書かれており、後半は企業としての営業、マーケティングの仕組みのつくり方について解説されています。

 読み始めると、実際の営業の現場における話の進め方やテクニックばかりが説明されており、方法ばかりに走っていることに疑問を感じました。人間性という基礎の大切な部分を飛ばしてしまって、この方法だけを使ったら、非常に危ないのではないかと思ったからです。

 しかし、後半部分は企業としてのマーケティングの仕組みづくりについて、非常に論理的に解説されていて納得でき、興味深く読むことができました。今頃読んで叱られそうですが、前後の構成を逆にするか、前後で別冊に分けたほうがいいのではないだろうか、と思いました。

 営業の担当者は売上げ至上主義になりがちです。私は経営者として全体を見ています。売り上げはむやみにつくればいいものではないという考え方です。
 
 昔私がいた営業の現場では、相手がどういう状態であろうと関係がなく「とにかくがんばって売ってこい」という感じでした。

 売れそうにない相手に無理に営業をしてはいけない理由について石原さんは次のように述べています。

 売るのが大変だから・・・・・・ということも確かにそうですが、本当の理由は売りやすい人に一年を通じてセールスした時と、売りにくい人に一年間セールスを繰り返した場合の生産性と、その後得られる紹介者の人数(紹介率)や、紹介されたお客様の成約率、お客様の質などを考えた時に、その差が大変な結果として現れるからなんです。

          『営業マンは断ることを覚えなさい』 p147より引用


 
 従来のマーケティングは、集客、販売、顧客化、の3ステップでしたが、石原さんの「売れる仕組み」は、集客、見込み客フォロー、販売、顧客化、の4ステップです。
 今ではよく知られた手法ですが、改めて読んでみて頭がよく整理されました。

 気合で営業をする時代はとっくに終わりました。気合で営業をする人が来たら怪しいと思ったほうがいいですね。

 営業に関わっている方はご一読くださいませ。 

  


 参考文献:『営業マンは断ることを覚えなさい』 石原明 (三笠書房 知的生き方文庫)
 

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