『借入は減らすな!』を読んで
松波竜太さんのご著書『借入は減らすな!』を拝読いたしました。
松波さんはOA機器商社、会計事務所勤務を経て、平成15年、さいたま市に松波会計事務所を開業されました。財務体質の改善や銀行交渉のコンサルティングなどもされている税理士の先生です。
この本は中小企業向けに銀行からの借り入れや交渉の方法を伝授してくれるものです。主に起業から間もない企業や小規模な企業向けに書かれています。銀行の立場からの見方についての部分はどの企業にも参考になると思います。
松波さんは銀行には三つの行動原理があるといいます。
①お金がないところには貸さず、お金があるところに貸したがる。
②借りたいと言ってくる企業を疑い、もうよいと言っている企業に貸したがる。
③「右にならえ」が大好きで、「他行が貸すならうちも貸す、他行が引くならうちも引く」
『借入は減らすな!』p34より引用
この三つの原理をおさえて銀行交渉を有利に進めるためには次の二つの方法をとればよいのだそうです。
●銀行にとって「貸さないと損をする」と思われるようにする
●「他行も貸したがっていて、貸さないと他行にシェアを奪われる可能性がある」と思われるようにする
『借入は減らすな!』p35より引用
企業における役員報酬の引き下げについては次のような記述がありました。
社長の取り分が減るのは役員も文句はないだろうと「代表者の役員報酬」を引き下げる場合がありますが、そうすると「代表者の保証能力も低下」するので気をつけてください。
つまり、代表者は借入相応の役員報酬をキープする必要があるということです。
『借入は減らすな!』p86より引用
ここは耳が痛いですね。だから、私は信用力が低いわけです・・・・・・
また、借入をお願いしている銀行からはよく預金のお願いをされることもありますが、こんな理由だそうです。
つまり、借入額と預金残高の差が小さいほど、預金残高が多いほど、銀行としては利益率が高くなるわけです。
『借入は減らすな!』p168より引用
銀行に提出する経営計画書については過去との整合性が大切だと言います。
過去:将来=99:1ぐらいの信頼性と考えてください。
『借入は減らすな!』p248より引用
私にとっては気づきが多く、おもしろいことがたくさん書かれていました。税理士の先生がどうしてこんなに銀行のことを知っているのだろう?と不思議に思いました。
中小企業を経営されている方はご参考になさってください。
参考文献:『借入は減らすな!』 松波竜太 (あさ出版)
関連記事