譲れない線

Hitoshi Yonezu

2012年11月03日 10:00

 陳建一さんはかつて「料理の鉄人」の収録の際に、テレビ局の人から「勝ったらガッツポーズをお願いします」と頼まれたことがありました。
 そのとき陳さんははっきりと断ったそうです。芸能人ではない陳さんには料理人としてのスタイルがあるからです。

 陳さんのご著書『「段取り」の鉄人』106pより引用いたします。

 僕に料理人としての限度、線引きがあるように、どんな仕事をしていても、簡単にイエスを言えない状況があるだろう。その線をあいまいにしておくことは、いずれ自らの首を絞めることになりかねない。無理な要求が増えるかもしれないし、足元を見られるかもしれない。先のことを思えば、自分の引いた線はブレないほうがいいと僕は思っている。

          『「段取り」の鉄人』より引用


 会社の中でセクションごとに主張が対立してしまうことがあります。

 悪く言えばセクショナリズムということになりますが、よく話を聞いてみると、自部門の仕事を精密にしっかりと仕上げようとするから起こっている場合もあります。

 それぞれが自分の引いた線を守り通しているのです。

 どちらの言っていることも正しいです。どちらも主張は通してほしいと思います。

 ただ、うちの場合であれば、最終的にはどうするかは、お客さまがどう感じるかにかかっています。
 
 お客さまのご満足が向上するような決定をすべきだ、と私は社員にいいます。

 決して頑固な態度であってはならないのです。

 視線は内部対立の相手や上司に向かうべきではなく、お客さまに向いているべきと考えます。

  


 参考文献:『「段取り」の鉄人』 陳建一 (東洋経済新報社)
 

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