『中国経済の真実』を読んで

Hitoshi Yonezu

2012年09月17日 10:00

 石平さんと福島香織さんの対談集『中国経済の真実』を拝読いたしました。

 石平さんはこのブログでも何度もご紹介している中国問題の評論家です。中国のお生まれですので、我われには見えない切り口で中国の問題を語ってくれます。
 福島さんは、大阪大学卒業後、1991年産経新聞社大阪本社に入社、上海の復旦大学に1年間の語学留学を経て、2001年香港支局長、02年から08年まで中国総局記者として北京に駐在、09年に退社されました。現在はフリー記者として取材活動、執筆活動をされています。

 この対談が行われたのは、2011年11月初旬だそうですから、約11カ月が経ってしまっています。2012年1月に初版が発行されていますので、その頃購入したのだと思いますが家に積んだままになっていました。
 昨今の日中関係を考えるために、遅ればせながら読んでみました。

 いま大問題となっている中国での暴動は日本に向けてのものですが、純粋に日本の問題だけかといえば、その他のいろいろな問題を含んでいると考えたほうが妥当でしょう。

 天安門事件は、民主化という一つの理念のもとに学生や労働者が一元化したものでした。

 石さんは、もし次に革命があるとしたら次のようなものだ、といいます。

 次の革命はそうではなく、いろいろな人たちがいろいろな不満を持ち、これにもう我慢できなくなったとき、大きな事件をきっかけに、いっきに不満を爆発させるのです。その不満をネットが集約し、いきなりどこかで大騒動が起き、政権が押し潰されていくでしょう。

                 『中国経済の真実』より引用


 いまの中国人は日本人よりも煽られやすい状況にあると思います。

 福島さんは、『環球時報』という1.2元の新聞が庶民に大人気で、200万部も発行されていることに関連して次のように述べています。

 『環球時報』の読者は圧倒的に貧困層が多いですが、貧しい人ほど中国の国威発揚や軍事強化が嬉しいみたいです。日本のような一億総中流の状況下で、新聞が「戦争万歳!」と煽っても絶対に売れませんけれど、中国では「人民解放軍、海外派兵」という見出しを立てると、それが不満のはけ口になるようです。
 さらにいえば中国人は、日本人と違い「戦争は悪」とは思っていません。

              『中国経済の真実』より引用


 中国は暴動をある程度容認し、日本に対して強気の外交を展開しています。
 
 福島さんは、中国のやり方は北朝鮮と同じだといいます。いまの中国の軍事力ではアメリカに勝てないので、恐喝をするしかないというのです。

 中国も同じで、実際に武力衝突となったら勝てる見込みがないから、ガチンコでは戦わないでしょう。軍の首脳も「武力衝突をやってはいけない」と考えているはずです。ただ巨大な軍事力は、交渉の道具にはなります。
 外交交渉となったとき、中国はどこを狙えばいいのか、よく知っています。要するに交渉のいちばん下手な国、つまり日本が狙われるのです。

                      『中国経済の真実』より引用

                  
 中国の首脳も今のままの状況が続いたら、自国にどれだけの損害を与えてしまうか、分かっているでしょう。この暴動の矛先は別の方向に向かう可能性もあります。
 一般の中国国民は日本の国民と違って、自国のことも世界のこともまだあまりよくわかっていないと思います。

 領土の問題は、それぞれがもっともらしいことを言いますが、結局、支配しているもののものだ、というのが現実です。取り戻すには戦争をせねばならず、それは大変なことです。

 我々は報道に煽られて感情的にならないことです。
 
 暴動については、一刻も早い解決を望みたいと思います。    
 
  


 参考文献:『中国経済の真実』 石平 福島香織 (PHP研究所)
 

 参考ブログ:「中国が凶暴になるとき」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1080483.html

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