『新幹線お掃除の天使たち』を読んで

Hitoshi Yonezu

2012年08月31日 10:00

 遠藤功さんのご著書『新幹線お掃除の天使たち「世界一の現場力はどう生まれたか?」』を拝読しました。

 遠藤さんは早稲田大学ビジネススクール教授で、欧州系最大のコンサルティング・ファームであるローランド・ベルガーの日本法人の会長も務めておられます。
 
 私はよく長野新幹線に乗りますが、お掃除をされている方の態度や働きぶりが向上しているなあと常々感じておりました。
 新幹線の出入りの時にホームで一列に並んで深々とお辞儀をしている姿は目に焼き付いていますし、クリスマスにはサンタさんの帽子をかぶって季節感を出しているのにも驚きました。

 この本はJR東日本のグループ会社である鉄道整備株式会社の現場力を明かしてくれます。

 東京駅で新幹線の折り返しは12分ですが、降車に2分、乗車に3分かかるため、実際に掃除をできる時間は7分しかないそうです。1人が1車両を担当し、たった7分の間に、ごみを集め、テーブルを拭き、ブラインドを上げ、窓枠を拭いて、場合によっては座席カバーも交換するのだそうです。

 スタッフたちは仕事上で実際に起こった出来事をエンジェルレポートという報告書にまとめて提出しています。そのいくつかはこの本でも紹介されています。ホームで落ちそうになった人を助けたり、迷っている方を案内したり、酔っ払いの客を追い出したり、清掃という仕事の中にもさまざまなドラマが繰り広げられています。

 私は昨日も新幹線に乗りましたが、席は回転しっぱなしで倒っしぱなし、ごみは散らかしっぱなしにしてそそくさと降りた家族連れが前の席にて、がっかりしました。乗っている間のマナーも感心したものではありませんでした。そういうことがあたりまえだと思ってしまうお子さんがかわいそうです。
 電車を降りるときには、できる限りきれいにして降りよう、と改めて思いました。

 清掃の具体的にな方法についてもう少し詳しく書かれているとよかったですが、世界最速の清掃会社の秘密、少しだけ分かりました。

 みなさまもぜひご参考になさってください。

  


 参考文献:『新幹線お掃除の天使たち「世界一の現場力はどう生まれたか?」』
         遠藤功 (あさ出版) 
 


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