茶色のM&M'sを取り除く
アトゥール・ガワンデさんの『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』より引用します。
ある日のラジオで、ロックミュージシャンのデイビッド・リー・ロスの逸話を聞いた。ヴァン・ヘイレンのボーカルを務める彼は、コンサートの契約書に「楽屋にボウル一杯のM&M’sチョコレートを用意すること。ただし、茶色のM&M'sはすべて取り除いておくこと。もし違反があった場合はコンサートを中止し、バンドには報酬を満額支払うこと」という事項を必ず含めるそうだ。実際、ロスが茶色のM&M'sを見つけてコロラド州でのイベントを中止したこともある。
『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』より引用
ミュージシャンて、わがままなんだな・・・・・・と思いながらこの逸話を読んでいました。
しかし、続きを読むと、この契約には非常に意味のあることが分かりました。
その契約書に試金石としてM&M'sの項目を入れておく。「そして、もし楽屋で茶色いM&M'sを見つけたら、全てを点検しなおすんだ。すると必ず問題が見つかる」それが命に関わることだってある。コロラド州のイベントでは興行主が重量制限を確認しておらず、セットは会場の床を突き破って落ちてしまうところだった。
『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』より引用
つまり、茶色いM&M'sさえも取り除くこともできなような準備の体制では、必ず他のどこかにも落ちがあるだろう、というロスの読みなのです。
日常生活でも、いつもと違うことを発見すると「おかしいな???」と思いますよね。
いつもは空になっているごみ箱にゴミが山のようになっていたり、ライン内にきちんと停めてあるはずの自動車がはみ出して停めてあったり、切手が斜めに貼ってあったり・・・・・・
そういうときはその担当者や組織に何らかの乱れがあるものです。
いつもと違うときには「どうしたの?」「大丈夫?」と聞いてみます。
私はミュージシャンではないので、ロスのようなユニークな契約を要求することはできませんが、仕事の上では必ずチェックポイントを決めて定期的に点検しなくてはならないのだと思います。
参考文献:『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』
アトゥール・ガワンデ(著) 吉田竜(訳) (普遊舎)
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