プロフェッショナリズムの四つの要素
アトゥール・ガワンデさんは『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』の中で、どの専門職のプロフェッショナリズムにも必ず含まれる三つの要素を指摘されています。
第一に無私であること。
第二に腕があること。
第三に信用に足ること。
昨日のブログではこの本に紹介されていた航空機事故の詳細を引用しました。
航空業界は四つ目の要素を加え、プロフェッショナリズムをさらに強化しているそうです。
航空業界の人々は、そこに四つ目を加えた。規律だ。よくできた手順には絶対に従うこと。必ず他者と協力しあうこと。医療を含む、他の多くの業種では考えられないようなことだ。医療では自主性こそがプロの証だと考えられているが、自主性は規律の対極にある。だが、大きな病院、何人もの医者、リスクの大きい治療法、そして一人ではとても習得しきれない膨大な量の知識を要する現代医療では、個人の判断に任せるのは愚策だ。古い価値観にしがみついていては良い医療は提供できない。時々思い出したように「仲良く協力しあいましょう」と言っているようでは駄目なのだ。本当に必要なのは、絶対に協力しあうという決まりを作り、常にそれに忠実であることだ。
『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』より引用
冒頭に紹介した三つの要素を満たしているのであれば、医師であろうと、パン屋さんであろうと、鮨屋さんであろうと、金型屋さんであろうと、どんな分野においても優れた専門家として尊敬されるでしょう。
しかし、現代において仕事は一人で行うことは少なくなり、ほとんどは組織やチームで動きます。航空業界だけでなくすべての産業に規律が求められているのです。
飛行機を飛ばすのも、パンを焼いて販売するのも、複雑さの違いこそあれ、手順を踏んでお客さまにサービスを提供するという意味では同じことです。
複雑ではないから規律がなくてよいということはないと思うのです。
参考文献:『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』
アトゥール・ガワンデ(著) 吉田竜(訳) (普遊舎)
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