『お客さまの「特別」になる方法』を読んで
小坂裕司さんの『お客さまの「特別」になる方法 -「リレーションシップ・キャピタル」の時代』を拝読いたしました。
小坂さんはオラクルひと・しくみ研究所代表、九州大学客員教授などを務めておられ、マーケティングの世界では有名な方です。
ビジネス上の成果とともに、学術研究と現場での実証研究を合わせもつ稀有な存在として各界から注目されていてる・・・・・・と紹介されています。
副題に『「リレーションシップ・キャピタル」の時代』とありますように、この本ではいかにしてお客さまと絆をつくるかが書かれています。
お客さまと築いた絆は、9つのベネフィットを生み出すそうです。
1.指名される
2.顧客流出が改善される
3.反応率・成約率が上がる
4.顧客一人当たりの年間購入金額が伸びる
5.値引きをしなくても売れるようになる
6.クレームがなくなる
7.休みがとれるようになる
8.口コミ・紹介客が増える
9.仕事が楽しくなる
『お客さまの「特別」になる方法』より引用
ある自動車ディーラーのナンバーワン営業の方の話が紹介されていました。
彼は、初めて車を買った方が自社商品を買ったとすると、だいたいその方の生涯消費は千五百万円だと言った。しかし次回の買い替え時に他社の車に乗り換えられてしまい、その後戻って来なかったら、生涯消費は最初の一台で終わってしまう。ちなみに彼は、自分は「車を売る」のではなく「顧客と生涯付き合う」ことが仕事であり、だから顧客を徹底的にフォローするのだと言い切っていた。
『お客さまの「特別」になる方法』より引用
モノを売るという考え方から、お客さまとおつき合いをするという考え方に変わってきています。
また、特に小売業の場合、顧客との絆が深まると、特にセールの案内などをしなくても「顔を見たくて」、とか「おしゃべりしようと思って」といった理由でふらっと立ち寄ってくれるようにもなる。いわゆる無目的来店である。
『お客さまの「特別」になる方法』より引用
クリーニング店のような無目的来店がなかなかしずらい業種でもこのようなことが頻繁にあるのだそうです。お客さまと友達くらいの関係にならないとこうはならないでしょう。素晴らしいことです。
あるクリーニング店では、シャツが縮んだというクレームが、クリーニング店ではなく、販売元の百貨店に行ったそうです。信頼できるクリーニング店なので、縮むはずがないというお客さまの信頼感がそうさせているのだそうです。
この本にはうちの会社でも使えそうな考え方やテクニックがいくつもありました。
個人で小売店や飲食店を経営されている方には特に参考になると思います。
参考文献:『お客さまの「特別」になる方法』 小坂裕司 (角川oneテーマ21)
関連記事