たやすく貸してくれる場合
われわれの経験でいうと、銀行がたやすく金を貸してくれる場合は、たいていの人が危険に臨む。銀行がしぶってしぶって貸しているとうまくいく。だから銀行が金を使えというときには、よほど注意しなければならない。平生間違わないでやっている人間でも、銀行が今金があいているから使ったらいいという場合には失敗することが多い。
『松下幸之助 成功の金言 365』 8月14日の節より引用
大震災のあと、多くの企業が経営に行き詰りました。
民事再生、破産、廃業・・・そんな情報をお聞きすると、私は他人事と思うことはできず、どうしてしまわれたのだろうなあ・・・と本当に心配になります。
いまは、銀行にお金はあるのに、お金を貸す先がないという状態です。
一方、企業の経営者としては、お金はあればあるほどよいというのが心情でしょう。
始めの段階では銀行、企業双方の利害が一致しているのです。
しかし借りたものは必ず返済せねばなりません。
企業としては、一生懸命働いて着々と返済していくだけです。
銀行もお金を貸してしまってからは財務諸表という書面を見て企業の状態を判断するでしょう。
お金を借りられる状態のときには大変ありがたいと感謝しますが、そこで浮かれないで、気を緩めずに仕事をしていかねばならないのです。
松下幸之助さんのような偉大な経営者が、中小企業の社長の心配するようなことを述べていて意外に感じましたが、創業者だからこそご存じだったのでしょう。
これこそ松下さんの「ダム経営」の基礎なのだろうと思います。
参考文献:『松下幸之助 成功の金言365』 松下幸之助 (PHP研究所)
関連記事