おぼろげにわかれば十分

Hitoshi Yonezu

2011年08月03日 10:00

 松下幸之助さんの『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』に面白いことが書いてありました。引用させて頂きます。
 
 おぼろげにはわかるやろ。おぼろげにわかったらそれで十分や。それを得心するまで究めるのはなかなか不可能なことや。だいたいそうかなと思ったら、それでいいわけである。
 その、君の多少の疑問もまあよくわかる。腹の底から得心できるというものがもてなくて、ほんとうにそれでいいのかなという感じがするわけやな。しかし腹の底から得心できたら結構やけれども、得心できないのが大部分や、この世の中というものは。大部分はみな半信半疑でやっとるわけや。

          『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』より引用


 このあと、松下さんは、半信半疑でも結論を出してきたのが松下式の経営で、適当なところで結論を出すのは一種の悟りだ、と述べています。

 私は、わかるまで突き詰めるのがよいことだと思っていましたし、あれだけの企業をつくった松下さんですから、いままでかなり厳しく追及してきたのだろうと考えていました。

 おぼろげにわかればよいのだ、という松下さんのゆるい感じは意外でした。
 
 世の中では、突き詰めてしまうと、解決するどころか、逆に問題を引き起こしてしまうということがあります。

 そこまでやらなくてもいいのに・・・と思うのです。

 適当に切り上げる方が勇気のいることなのかもしれません。

 私は、このエッセイを読みながら、「読書もまったく同じで、おぼろげにわかればいいんだよなあ・・・」と考えていました。

 以前の私は、書いてあることすべてを完璧に理解しよう、と思って一生懸命読んでいましたが、なかなか先へ進めませんでした。

 凡そわかればいいや、と開き直った瞬間、どんどん読めるようになりました。
 
 どうしても詳しく理解したい部分は突き詰めればよいですが、あとは適当に読む、と覚悟できれば読書も楽ですよ。

 

 参考文献:『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』 松下幸之助[述] (PHP研究所)
 

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