日本の存在の希薄化

Hitoshi Yonezu

2010年06月28日 10:00

 先週、ある会合で、大学時代の友人と久しぶりに話をする機会があった。

 彼はいま日本で、外資系グローバル企業のファイナンス部門のマネージャーをしている。いくつかの業種を転職してきたが、一貫してファイナンスの専門家であり、海外の駐在も長い。


 その彼が心配していたことは、 日本の存在の希薄化である。


 彼が勤める会社には、日本だけで数千人の社員がいるが、日本の市場を重要視しておらず、今後、基本的には人員も設備も削減の方針とのこと。
 既に開発やマネジメントの拠点はアジアへ移り始めているそうで、自社施設の売却の仕事もしている。
 
 外資系の企業だから、特別日本にこだわることはない。ビジネスになるところへ自然に動いているのだ。


 海外でおこなわれたマネージャー研修では、アジア各国から同じ立場の同僚が集まったが、中国や韓国、インドなど、勢いのある国のマネージャーは、グループ討議で、おれがおれが、と自ら前へ前へどんどん出てきて、謙虚な日本人とは全くかみ合わなかったという。

 「このままではアジア諸国に追い越されてしまう、日本は本当にヤバイですよ!」と、彼は不安そうだった。


 外資系企業に勤めていると、いつどんな理由で解雇されてもおかしくないという厳しい一面がある。その中で生き抜いているエリート社員がそう言っているのだ。重みがあった。

 経済書を読めば国際マクロ経済のことは大体分かるが、実際に現場を聞いてみても、悲しいかな、こういう現実があるのだ。

 過去からつながってきた内需でなんとか生きている私のような地方のビジネスパーソンは、世界のことがよく分からないだけに、こういう話を身にしみて理解しなくてはいけないと思う。

 もうこの先、昔のような良い時代に後戻りすることはないという現実だ。


 日本が経済的に衰退するの仕方ないとしても、では、何で優位になるるのか?何が特徴の国か?

 人? 教育? 環境? 技術? 研究? サービス? 観光? 


 日本をよい国にするために、もう、もたもたしている余裕はないのではなかろうか。

 

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