日本にとっての輸出の大切さ

Hitoshi Yonezu

2010年02月18日 10:00

 『逆境を生き抜く 名経営者、先哲の箴言』において、北尾社長は2002年2月から2007年10月まで続いたいわゆる「いざなみ景気」について、この景気の一番の要因は、ゼロ金利や量的金融緩和など、日本銀行による異常な低金利政策と、円安に誘導してきた政府の輸出振興策だったとし、この期間に内需を刺激する政策が全くなされなかったことを問題視しておられる。


 先般、ある勉強会で、日本の実質GDP(国内総生産:2008年は約540兆円)と、その内訳である、個人消費、住宅消費、設備投資、民間在庫品増加、政府消費、公共投資、輸出、輸入などの、この15年の推移をグラフにしたものを比べてみた。
 そして、唯一、「輸出」のグラフだけが、これらの総合である実質GDPのグラフと相似形であることを見て、驚いた。

 実質GDPの約6割を占める「個人消費」は、GDPと似ていると言えなくもないが、「輸出」の推移は似ているどころか、瓜ふたつの形をしていたのだ。

 経済分析を「ぱっと見」で判断するというのは大変乱暴な話だが、実質GDPの十数パーセントを占めるにすぎない輸出が、実は日本のGDPの推移に最も関係している、すなわち、景気の変動に最も影響を与えていたのだ。

 冒頭に御紹介した北尾社長の考え方でわかるように、経済の構造が変わっていない現状においては、すぐに景気を回復するためには、やはり輸出部門がよくなるしかないのである。

 いまようやく回復しはじめたといわれる日本の製造業だが、なんとしても力強く回復して頂きたいと思った。


 私は直接的には輸出に関係が薄い仕事をしておりますので、後方から応援いたします。
 
 参考文献:『逆境を生き抜く 名経営者、先哲の箴言』 北尾吉孝 (朝日新書)
 

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