新自由主義はどこからきたか?
ミルトン・フリードマン(1912-2006)は、ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの有名な経済学者である。
私が大学で経済学を学んでいた20年前には、経済政策に関してマネタリストとケインジアンという対立の構図があった。
ケインジアンとはケインズの理論を、マネタリストはフリードマンの理論を信奉している人たちのことである。ケインジアンVSマネタリストの大まかな理解としては、財政政策を有効とするのが、ケインジアンであり、金融政策、とりわけ貨幣供給量の調節を有効とするのがマネタリストであった。
マネタリストは財政政策を無効とするわけだから、その帰結として小さな政府を推進することになる。
当時、アメリカは時あたかもレーガン政権である。レーガン大統領はフリードマンやサプライサイド経済学の影響を受けて、小さな政府、規制緩和、減税という供給重視の政策を進めていた。いわゆるレーガノミックスである。イギリスではサッチャー首相、日本では中曽根総理の時代だ。
ベンジャミン・フルフォードさんの『アメリカが隠し続ける金融危機の真実』によれば、フリードマンこそが、いま盛んに論じられている新自由主義の礎を作った人物であり、レーガノミックスが、いまに続く新自由主義の始まりだという。
私の記憶が正しければ、少なくとも20年前、大学では「新自由主義」という言葉をほとんど聞いたことがなかった。フリードマンの論理はマネタリズムと呼ばれていた。マネタリズムの派生的な一派としてサプライサイド経済学があった。しかも、マネタリストにせよ、サプライサイダーにせよ、その論理はあまり評価をされていなかった。
「ラッファー曲線」がサイプライサイダーを嘲笑する話題として、マクロ経済学の教科書に掲載されていたのを思い出す。当時はケインジアンがほとんどを占め、マネタリズムやサプライサイドの論理を唱える経済学者は異端派だったはずだ。
そのマネタリズムが、いつの間にか、新自由主義に変わったのか?それとも、新自由主義とは思想を含む大きな概念のことをいうのか?
いまでは新自由主義らしきものを唱える経済学者が一群を形成している。
「競争市場は常に公平だ」というフリードマンの考え方が、レーガノミックスに影響し、世帯の格差を広げた。(いまアメリカの人口の1%の人々に総資産の40%が集中しているそうだ。)この流れが昨今の日本の新自由主義、小泉内閣の政策にもつながっているという。
そうなのだろうか・・・あのマネタリズムがいまの新自由主義なのか、新自由主義が見直されようとしているが、日本の経済政策が新自由主義といえるのかどうか、もう少し複雑のような気がするが・・・。
(この本はお世話になっているN先生にご紹介して頂いたのですが、ジャーナリストだから書ける興味深い話題がたくさん出てきます。論理についてはやや大雑把な箇所もありますので、一つの考え方として、ご参考になさってください。また私の上記の文章ですが、しばらく経済理論の勉強をしておりませんので、わからないことが多く、お詳しい方に教えて頂きたいと思います。何卒よろしくお願いいたします。)
参考文献:『アメリカが隠し続ける金融危機の真実』 ベンジャミン・フルフォード著 (青春出版社)
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