『はじめてでもわかる財務諸表』を読んで
小宮一慶さんの『はじめてでもわかる財務諸表 危ない会社、未来ある会社の見分け方』を拝読いたしました。
小宮さんのご著書はこのブログで今まで20回以上ご紹介しております。全部は紹介しきれないので、二つURLを入れておきます。
参考ブログ:
「お金や地位は目的ではない」
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1098968.html
「質を高めることを目標にする」
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1087210.html
今回ご紹介するのは財務諸表の読み方を教えてくれる本です。簿記を学んだり、財務諸表をつくる経理の専門家のための本ではなく、中小企業の社長のように財務諸表を読む人のための本といえます。
会計や財務諸表などの本はつまらないと感じている方が多いと思いますが、私は結構好きです。書店をぶらついて、おもしろそうな本があると購入してしまいます。
好きな理由は、自分が気づいていなかった会計や財務の切り口を見つけることができるからです。少し違うかもしれませんが、私にとっては数学を学んだときのおもしろさのようなものです。発見があると、新鮮な見方で自社を見つめ直すことができて興味深いです。
この本で気づきを頂いたのは以下のことです。
1.ROE(株主資本利益率)よりROA(資産利益率)の方が大切である。(p147)
ROEはROAに財務レバレッジ(自己資本比率の逆数)をかけたものなので、ROEを上げるためには、自己資本比率を下げるのも一つの方法になってしまいます。このことは安全性を低下させることになります。
2.未来投資をしているかの調べ方(p181)
投資キャッシュフローの「有形固定資産の購入」が営業キャッシュフローの「減価償却費」よりも多いかを見ます。減価償却以上の再投資をしないと事業の維持は難しくなります。
3.売れなくてもたくさん作ったほうが儲かる(p228)
これは言われてみれば当たり前のことですが、私は気が付かなかったことです。全部原価計算の場合は、売り上げた分しか原価に入れないために利益の水増しが起こります。(在庫は増えてしまいますが)
私ももう46歳になって、大体のことは分かっているんだ、とおごりの気持ちがでてしまうことがあります。そこは謙虚にいかねばなりません。
専門家の方の本を読んだり、お話をお聞きするのは、自分の無知を自分に知らしめる意味があります。
とても分かりやすい本です。みなさまもぜひご一読くださいませ。
参考文献:『はじめてでもわかる財務諸表 危ない会社、未来ある会社の見分け方』
小宮一慶 (PHPビジネス新書)
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